大阪市内で現代美術を扱う2つのギャラリー、Yoshimi Arts(肥後橋)とthe three konohana(此花)は、2017年より泉茂(1922〜1995)の作品の調査と展示を共同で行っている。
4回目の共催展となる「Newly Discovered Works」が、両ギャラリーにて2023年9〜10月に同時期開催。なお本展は、the three konohanaの開廊10周年記念展第2弾としても位置付けられている。
両ギャラリーが泉に関する継続的な調査を進める中で、最近になってロールの状態で保管されていた大きなサイズのキャンバス作品群を発見したという。これらは、2012年まで大阪府河南町にあった泉のアトリエを完全に引き払う際に関係者が引き取ったものの一部だが、その当時にまとめられたリストには記載のなかった作品群であった。
本展では、その作品群からセレクトした約10点を、2つのギャラリーで同時公開する。出品作品は、当時の資料や情報が不確かな要素が随所にあると同時に、完成された作品として発表実績がないと思われるものも含まれていた。両ギャラリーは本展を通じて、生前の泉や作品制作時のことを知る関係者から作品の情報やエピソードを収集する予定だ。
また本展では、かつて泉の助手を務めていた大阪芸術大学美術学科の特任教授・中川佳宣に展示協力を得て、同大学が所有する泉の作品資料も借用して作品とともに展示。関連企画として、Yoshimi Artsの稲葉征夫とthe three konohanaの山中俊広の2人のギャラリスト、国立国際美術館主任研究員・福元崇志の3名が、それぞれに執筆した泉茂についてのテキストをまとめたリーフレットを、部数限定で無料配布する。
近年は全国各地の美術館のコレクション展や企画展で、泉の作品が公開される機会が増えてきた。今回の展覧会と継続的な調査から、泉の新たな魅力の掘り起こしにつながることが期待される。
泉 茂(Izumi Shigeru) 経歴
1922年大阪府生まれ。大阪市立工芸学校図案科卒業。瑛久らと1951年に結成した「デモクラート美術家協会」で活動し、叙情的な作風の版画が国内外で高い評価を得る。同会解散後、1959年から10年間にわたり滞在したニューヨークとパリで、当時の現地の美術の動向に触れ、抽象的な平面表現へと大きく転換する。帰国後は、主観を排除し、描くことの本質を追究した作品を、晩年まで精力的に制作・発表した。また、1970年から92年まで大阪芸術大学の教授に就き、後進の作家を多く輩出した。1995年没。
和歌山県立近代美術館、国立国際美術館、パリ市立近代美術館、ニューヨーク近代美術館など、国内外の美術館に多数作品が収蔵されている。2017年よりYoshimi Arts とthe three konohana が取扱ギャラリーとなり、定期的に展覧会を開催している。
泉 茂「Newly Discovered Works」
会場1:Yoshimi Arts
会期:2023年9月13日(水)~10月1日(日)
時間:12:00~19:00 ※日曜は17:00まで
休廊:月・火曜会場2:the three konohana
会期:2023年9月15日(金)~10月8日(日)
時間:12:00~19:00
休廊:月〜水曜
大阪市西区江戸堀1-8-24
若狭ビル3F
大阪市此花区梅香1-23-23-2F