本展は、これまでの西久松の発表してきた立体作品に加えて、平面作品を中心に構成された展覧会となっております。西久松は自身の現在の立体作品を中心とした制作に至るまでを反芻する中で、日本画の画面の中における色の重なり合いから生まれるほのかな色面の変化を機敏に感じていたことや、幼少期から目の前の景色のアウトラインを視覚的に追っては自身の中にインプットしてそれを平面的に再構成していたことを思い返しました。本展では、そんな彼女の現在の作品制作の根幹となっていた原体験が新たに平面作品としてアウトプットされています。それはまるで彼女の過去、現在、未来が交わるような瞬間であり、彼女の新たな表情を垣間見ることのできる展覧会となっているのではないでしょうか。皆様にご覧いただけることを心より楽しみにしております。
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「幽けき棲処」
幼い頃、友人と共に山の中に秘密基地を作った記憶がある。学校や住宅街から程近い場所であったが、私たちしか知らない誰にも見つからない場所だった。塵置き場から椅子や棚などを拾ってきては運び入れ、小枝や蔦を使って囲いを作ったりした。その異空間は、何者からも侵入されず、干渉も受けない自分たちだけの特別な空間で、そんな場所が必要だった。
SNSが急速に普及し、私たちは気軽に情報発信をしたり交友関係を広げる事が出来るようになった。それと同時に、常に他者の視線に晒されているという意識と生きづらさを感じることがしばしばある。SNSを利用する目的の一つには「人と繋がっていたい」という欲求が多くの人にあるようだ。しかし人間同士の関係性の中で、たとえ家族であったとしても超えてはいけない境界線があり、それを超えてしまうと大きな隔たりが生じてしまうのかもしれない。時には他の存在や視野から離れた場所が必要なのではないだろうか。
誰にも見つからない静かな場所に小さな棲処を作りたい。
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西久松友花 | NISHIHISAMATSU yuka
1992 京都府生まれ
2011 京都市立銅駝美術工芸高等学校 日本画専攻 卒業
2016 京都市立芸術大学美術学部工芸科陶磁器専攻 卒業
2018 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器 修了
京都を拠点に活動
歴史のあるもの、現代まで継承された伝世品や土着の文化、宗教的象徴物などを、土という素材に置き換えて再構築、再解釈し、陶立体を製作する。
(プレスリリースより)
Solo Exhibiton “幽けき棲処”
出展作家:西久松友花会期:2024年1月19日(金)~ 2月12日(月)
会場:Marco Gallery 1F
時間:12:00〜19:00
定休:月・火曜 ※2月12日は祝日のため通常営業
大阪市中央区南船場1-12-25
竹本ビル 1F 3F 4F