心斎橋のエスパス ルイ·ヴィトン大阪にて、イギリス人アーティスト、アイザック・ジュリアンの個展｢Ten Thousand Waves｣が開催される。

ジュリアンは、西インド諸島のセントルシア島からイギリスに移住した両親のもと、1960年にロンドンで生まれた。1984年にセント・マーチンズ美術学校を卒業し、美術・映像の学士号を取得。ロンドンと米国カリフォルニア州サンタクルーズの間を行き来しながら活動しており、ビデオを社会活動の表現手段として用いるイギリス人映像作家たちによるムーブメントを牽引する1人である。

中華圏の主要な芸術家たちとのコラボレーションを通じて制作された《Ten Thousand Waves》（2010年）は、中国文化へのオマージュとして、役者、場所、時代の混じり合うポリフォニーを立ち上げる、巨大なビデオインスタレーションだ。
この作品は、2004年にイギリス北部で違法就労の中国人労働者23人が潮流に巻き込まれ命を落としたモーカム湾の遭難事故に端を発して制作された。書道、映画、さまざまな神話が交差する地点で強制的な移動と移民の問題に向き合う。

なお、本展開催を記念し、エスパス ルイ·ヴィトン大阪とクリエイティブアイランド中之島の共催のもと、来日するアイザック・ジュリアンの特別アーティスト･トークイベントが、3月27日に大阪大学中之島芸術センターにて開催。聞き手は、長年作家と交流があり、ジュリアン作品の論考も手掛けてきた神戸大学の小笠原博毅が務める。