『Transitory Landscape』は、フィリピン人アーティスト、ララ・モンセラットによる「AIRΔ vol.9レジデンスプログラム」の成果展です。
ピエール・ノラの「記憶の場(Les Lieux de mémoire)」やウィニコットの「移行対象」などの理論に着想を得た本プロジェクトは、インプリント(刻印)という形で、個人の大切にしている物とそれにまつわる物語をアーカイブ化します。それをもとにコミュニティや土地が抱える集合的な癒しの記憶を共有するための展示空間をつくり、社会におけるレジリエンス(共同体における再生)の重要性を提案します。
私たちは日々の中で、コミュニティへの帰属感や、文化的・歴史的背景を共有する他者との絆を感じているでしょうか。彼女が目にとどめ、耳をかたむけ、触れたことで、身近な物たちからTransitory Landscape―つかの間の風景―が立ち上がり、私たち自身を映し出します。
柏本 奈津(本展キュレーター)
ララ・モンセラット
1993年、フィリピンのメトロマニラ、ラス・ピニャス市生まれ。フィリピン女子大学美術デザイン学部でスタジオアート(絵画)の学位を取得。 モンセラットは、「記憶」「経験」「物質」などに宿る、感覚的・現象学的な「瞑想」に関心を持ち、インスタレーション、絵画、映像といった多様なメディアを組み合わせ、形成期やトラウマ的な経験を再構築することから、それらの変容と癒しの過程を表現する。柏本 奈津
2006年東京芸術大学美術学部先端芸術表現科を卒業。報道番組や映画制作のコーディネートや助監督、美術展やワークショップの企画サポートを行い、なら国際映画祭学生部門の審査員をつとめるなど幅広く活動する。また展覧会カタログや映画字幕など多方面で翻訳を手掛け、その一方で食に興味を持ちフードケータリングを実施している。AIRΔ vol.9について
TRA-TRAVEL、国際交流基金マニラ日本文化センター(JFM)、Orange Projectとが共催し、大阪にフィリピン人アーティストを1名招聘するアーティスト・イン・レジデンスアワードです。 本アワードでは、2024年6月中旬、JFMとOrange Projectによりフィリピン国内でオープンコールを実施、フィリピン各地から65名の応募がありました。フィリピン側の選考委員により6名に絞りこまれ、日本の最終審査で、レジデンスアワード大賞者をララ・モンセラットに決定しました。モンセラットは10月から大阪に滞在し、3カ月間のアーティスト・イン・レジデンスと本成果展を実施します。
Transitory Landscape
会期:2024年 12月13日(金)〜22日(日)
会場:千鳥文化
時間:11:30〜18:00
定休:火・水曜
料金:入場無料
Transitory Landscape オープニングイベント
日時:12月14日(土)16:00〜17:00
アーティスト/キュレーターのツアー ※日本語通訳有インプリント(刻印)ワークショップ
日時:12月14日(土)17:00〜18:00上記2イベント共通
会場:千鳥文化
料金:参加無料インプリント(刻印)ワークショップについて(主催者より)
本展では、鑑賞者が「大切にしている物」を粘土にインプリント(刻印)し、「物にまつわるストーリー」を記録するワークショップを、会期中随時実施しています。千鳥文化2階のテーブルに手順が示されていますので、是非大切にしている物をお持ちになり、ご参加ください。
12月14日(土)、15日(日)、16日(月)は、アーティストが在廊していますので、説明を受けながらワークショップを体験していただけます。(アーティストの在廊日以外もご参加いただけます。)主催:TRA-TRAVEL
共催:国際交流基金マニラ日本文化センター、Orange Project
レジデンスパートナー:一般財団法人 おおさか創造千島財団
助成:大阪市、芳泉文化財団
大阪市住之江区北加賀屋5-2-28