大阪中之島美術館で、「Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」が、2025年3月2日(日)まで開催されている。芸術家として、グラフィックデザイナー、タイポグラファーとしてそれぞれの道を開拓し、夫婦として創造的な生涯をともにした吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの活動の軌跡を追うことができる大回顧展だ。
ドイツのウルム造形大学でデザインを学び、「スイス・コンクリート・アート」のアートシーンに紹介された吉川静子。後にヨゼフ・ミューラー=ブロックマンと結婚し、アトリエをともにして芸術家として活動を展開した。初期の「色影」シリーズや太陽をモチーフとしたドローイング、その後の「シルクロード」シリーズにも見て取れるように、空気感と瞬間性に重点を置き、宇宙や太陽など自然界のエネルギーをテーマにしてきた作家だ。
また、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンは、スイスを代表するデザイナーとして国際的に活躍。1960〜80年代には亀倉雄策など日本のデザイナーと親交を深め、デザイン学校や美術大学で教鞭をとり日本のデザイン教育にも貢献した。ミューラー=ブロックマンの表現の特徴は、洗練されたタイポグラフィと「グリッドシステム」によるグラフィックデザインだ。グリッドシステムは、紙面における文字組と構成の方法論についてまとめたもので、デザイン史上の金字塔とも言うべき理論として今日まで大きな影響を与え続けている。
ふたりはチューリッヒを拠点として芸術活動や教育活動に従事し、吉川はミューラー=ブロックマンが亡くなった後も同地で画家として晩年まで制作を続けた。
没後初・世界初の二人展となる本展では、スイスから約130点の吉川作品が日本初お披露目。ミューラー=ブロックマンのグラフィック作品も約60点展示され、グリッドシステムが実践された雑誌『ノイエ・グラフィーク』も登場する。吉川の芸術世界とブロックマンの卓越した構成的デザインという、分野を超えた活動の変遷を見つめたい。
Space In-Between: 吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン
日程:2024年12月21日(土)~2025年3月2日(日)
時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
観覧料:一般1,700円(団体 1,500円)、高大生1,100円(20名以上の団体 900円)
休館日:月曜、2月25日(火)
※2025年2月24日(月・休)は開館
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
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日程:2025年2月24日(月・休)
時間:15:00〜16:00
定員:30名
参加費:無料
※当日、展示室に入るための観覧券を要持参。申し込みはこちらから