
今里のギャラリー・JITSUZAISEIにて、HIROSHI WATANABEの活動30周年と同ギャラリーの4周年を記念して、展覧会「Shifting Perspectives」が開催される。
この度JITSUZAISEIでは3月29日〜4月6日の期間、音楽家(DJ)兼、写真家のHIROSHI WATANABEさんによる写真&サウンドインスタレーション展「Shifting Perspectives」を開催いたします。
30年という長い歴史の中で、HIROSHI WATANABEさんは単なるテクノミュージシャンとしてだけではなく一人のアーティストとして、音と写真、そして日常の記憶を結びつける独自の表現を追求してきました。
HIROSHI WATANABEさんのキャリアは、革新と探求の連続でした。テクノミュージックの持つ無機質で冷たいイメージに対し、常に温かみや親しみ、そして人間味を加えることに挑戦されています。その背景には、自身の日常への鋭い観察眼と、何気ない一瞬に宿る美しさを見逃さない感性が息づいています。
特に、HIROSHI WATANABEさんが手がけるアルバムジャケットは、ただの装飾ではなく、自身が切り取った日常の1枚1枚が音楽の情景を語る物語となっています。時にはお子さんの写真や、日常の何気ない瞬間が映し出され、冷たく整然としたテクノ界隈に、温かな人間性と居心地の良さをもたらしました。これまでの活動は、従来のジャンルの枠組みを超え、視覚と聴覚が交わる新たな芸術表現の先駆者のように思えます。
また、HIROSHI WATANABEさんの作品には、時間の流れと共に刻まれる記憶の重みが感じられます。30年間の経験が積み重ねた感性は、過ぎ去る日々の一瞬一瞬に普遍的な「今」の輝きを見出し、見る者に懐かしさと共に未来への希望をもたらします。
一方で当ギャラリーJITSUZAISEIは、代表MINAMI MIYAJIMAの四角形を描き続けるアーティストとしての信念と、数字の「4」へのこだわりを象徴しています。2021年4月4日 4:44pmにオープンしたその歴史は、通常の節目である3年、5年、10年とは一線を画し、4周年という一見意外な数字が、MIYAJIMAにとって最も重大な節目であることを物語っています。
今回の展示では、プロジェクターによるスライドショーという手法で、HIROSHI WATANABEさんが撮りためた写真がCRACKWORKSさんの手によって音楽と映像の融合を通して甦ります。30年という長い歴史と、MINAMI MIYAJIMAの手による4周年という新たな出発点が交差するこの空間で、私たちは変わりゆく時代の中にも輝きを放つ「今」を感じ取ることでしょう。両者の節目と独自の表現が重なり合うこの展覧会は、未来への新たなインスピレーションと共に、革新の精神を讃える場となります。
是非ご高覧いただけますと幸いです。–
HIROSHI WATANABE a.k.a. KAITO
音楽家/DJ/写真家
1971年、東京生まれ。東京音楽大学付属高等学校を卒業後、1990年に渡米。ボストンのバークリー音楽大学を修了し、1994年よりニューヨークを拠点に本格的に活動を開始。DJ 活動と並行しながら数多くの作品を発表。叙情的でメランコリックなシンセフレーズとメロディを巧みに重ね、ダンサブルなリズムとビートレスなアンビエントの世界を自在に行 き来する独自のサウンドは、世界中のリスナーから高い支持を受けている。 2001年、ドイツのレーベルKOMPAKTよりKaito名義で7枚のEPと8枚のアルバムをリリース。2014年にはケルンでWDRオーケストラとの共演を果たし、2016年にはDerrick May主宰のTransmat Recordsから、日本人アーティストとして初となる「MULTIVERSE」を発表。代表作には、アニメ『交響詩篇エウレカセブン』の挿入曲「GET IT BY YOUR HANDS」、宮崎県の民謡に現代的アプローチを施した「TAKACHIHO」、茨城県の日本三大名瀑のひとつである袋田の滝のライトアップに合わせて制作されたアルバムなどが挙げられる。また、舞台作品、ゲーム、広告、ファッションなど、さまざまなシーンで劇伴、 楽曲提供を手掛けるとともに、写真家としてもアルバムカバーやアートワークの制作、個展の開催など多岐にわたる活動を展開。特にコロナ禍以降は、アンビエント作品の制作に注力し、自身のBandcampでも作品を発信している。2024年秋、Kaito名義で最新アルバム 『collection』を、フランス・パリを拠点とするレーベルInFiné Musicよりリリースしたばかり。–
CRACKWORKS
2000年頃にデトロイト・テクノから受けた衝撃をきっかけにDJとして活動を開始し、クラブカルチャーに足を踏み入れる。映像による視覚効果への興味から、職業柄プログラミングの技術を持ち合わせていたこともあり、ProcessingやTouch Designerを使用し制作した映像を取り入れたVJとしての活動も開始。2016年、大阪を拠点に活動を展開する、DJ、VJ、グラフィックデザイナー、フォトグラファーが集まり発足したSiiNEに、オーガナイザーのRyu.Kの誘いを受けVJとして加入。VJ、DJとしてマルチに活動を展開している。
HIROSHI WATANABE SOLO EXHIBITION
PHOTO AND SOUND INSTALLATION feat.CRACKWORKS
「Shifting Perspectives」会期:2025年3月29日(土)〜4月6日(日)
会場:JITSUZAISEI
時間:17:00~22:00
休廊:火曜
料金:入場無料
Live Performance
日時:4月4日(金) 19:30〜
料金:入場無料(1ドリンク制)
JITSUZAISEIが4周年を迎える4月4日(金) にライブパフォーマンスを行います。
HIROSHI WATANABEさんが捉えた自然の光景と、JITSUZAISEI代表のMINAMI MIYAJIMAが描く無機質な世界。
その二つがプロジェクションの中で交わるとき、空間は現実と仮想の狭間へと変化します。4月4日、この映像の中にWATANABEさん自身の音が重なり、時間と記憶が揺らぐ。音は光を導き、形は境界を超え、新たな知覚の層を生み出していく。この一夜限りの瞬間が、どのように響き、刻まれていくのでしょうか。
現実と仮想の交差点のようなライブパフォーマンスを是非ご鑑賞ください。(主催者より)
大阪市東成区大今里4-14-18