カーディーラーの株式会社マツシマホールディングスが2021年3月に京都・岡崎にオープンした、現代アート専門のギャラリー「MtK Contemporary Art」にて、大阪在住の現代美術家・ヤノベケンジの作品展「タンキング・マシーン-リバース 90年代のヤノベケンジ」が開催されている。
ヤノベは1965年大阪生まれ。1990年にアートスペース虹(京都)にて、生理的食塩水を浸したタンクで瞑想する体験型作品《タンキング・マシーン》を発表した。ヤノベのデビュー作である同時に、90年代の日本の現代アートシーンのトレンドの一つ「ネオ・ポップ」を牽引した記念碑的な本作は、高さ240cm、幅240cm、奥行き240cmの巨大な彫刻作品。卵形のタンクの中に体温程度に温められた生理的食塩水2トンが満たされ、その中で浮遊すると擬似的な胎内回帰をし、瞑想状態に入ることができるというもので、顔には、自身のライフマスクを象り、イギリスの骨董市で購入したガスマスクを取り付けた。
発表から約30年を経た2019年、ロサンゼルスのギャラリー、ブラム&ポーで開催された80年代 、90年代の日本の現代美術を取り上げた展覧会「パレルゴン」のために再制作し、《タンキング・マシーン-リバース》(2019)と改名。
2020年、新型コロナウイルスによるパンデミックが起き、世界中で都市のロックダウンや外出自粛令が発出され、社会全体が「隔離」されているなか、創造性が育まれ「再生」することを願い、《タンキング・マシーン-リバース》を京都の地で再び展示する。
また、放射線感知服《アトムスーツ》を身にまとい、チェルノブイリなどを探訪した《アトムスーツ・プロジェクト》など、ヤノベの他の独創的な作品も併せて観ることができる。
会期:2021年5月29日(土)~7月19日(月)
会場:MtK Contemporary Art
時間:10:00~18:00
休館:月曜日(7月19日は開廊)
京都市左京区岡崎南御所町20-1