大阪に生まれ、現在は淡路に住むラッパーのマリヲによる初の著書『世の人』が、2023年3月3日(金)に刊行される。版元の百万年書房は、太田出版で『Quick Japan』や『hon-nin』などの編集長を務めた北尾修一によって2017年に設立された出版社で、新レーベル「暮らし」の第2弾として制作された。
著者のマリヲはラッパーとして15年以上のキャリアを持ち、「Water」「Water a.k.a. マリヲ」などの名義でも活動。また、2022年末まで淡路の自転車店・タラウマラに勤務し、同店が発行するZINE『FaceTime』の編集・執筆も手がけた。
本書は百万年書房Webサイト上での連載をもとにまとめたもので、薬物中毒のために通うこととなったダルクでの生活や、普段の生活のなかで触れ合った人々についてなどを独自の文体で綴る。自伝的エッセイの枠におさまらない、「世」を見つめる視点に注目だ。
ダルクに通所するにあたって、ニックネームを決めなければいけなかった。匿名性を尊重する所の方針によってだった。マリヲです、と言った、ヲは難しい方のヲです、そうですくっつきのヲ、ヨみたいなヲです、別にどっちでもいいですけれど、という何回も繰り返してきた自己紹介で、また今までと同じように世界が作られていく感触があった、嘘をつき続けないといけないみたいな、いい子ちゃんのふりですね、自分の一挙手一投足が記録されて裁判に投影されるんじゃないかとかも思っていたし、とにかくミーティングは苦痛でしかなかった。ミーティングの前と後に、自分なりのとカンムリはついてはいるけど「神」の前で全てを放棄すると約束するのも嫌だった。エホバはいないとタンカを切って生きてきて、説得力のひとつもあれへんな、神も仏も無いな、と思っていた。
百万年書房Webサイトより引用 http://live.millionyearsbookstore.com/kurashi02/3072/
著者:マリヲ
発売日:2023年3月3日(金)
価格:1,700円(税別)
出版社:百万年書房
判型:四六変
ISBN:9784910053363