第19回となる現代美術のアートフェア「ART OSAKA 2021」が、中之島の大阪市中央公会堂(国指定重要文化財)にて3日間にわたって開催された。出展ギャラリーは、大阪から14軒、京都から6軒、奈良から1軒、東京から18軒、そのほか愛知や石川からも含め計46軒。
「ART OSAKA」はこれまで、現代美術に特化したホテル型アートフェアとして、梅田のホテルグランヴィア大阪などを会場としてきたが、今回は大阪を代表する近代建築が舞台となった。本レポートでは、ART OSAKAの事務局を務める山岸青葉さん(一般社団法人 日本現代美術振興協会[APCA])に、開催を終えての所感などをコメントいただきながら、会場の様子を紹介していく。
――大阪市中央公会堂を会場とした経緯についてお聞かせください。
2020年末にART OSAKA のスピンオフ企画として「ART OSAKA WALL」という平場のアートフェアを開催したのがきっかけです。そちらのフェアが大変好評だったこともあり、その経験を踏まえて平場のフェアを行うことに決めました。会場に公会堂を選んだのは、もちろん、建物そのものが魅力的であるという点もありますが、そのほかにも2点理由があります。ひとつ目は、公会堂が位置する中之島は、国立国際美術館や大阪中之島美術館、東洋陶磁美術館等がある、大阪屈指の文化芸術エリアであること。ふたつ目は、在阪企業の多くが拠点を置くビジネスエリアであることです。文化と経済両方の側面を持った中之島から、新たなアートシーンをつくり出すことが重要と考え、公会堂での開催を決めました。
――開催を終えての所感をお聞かせください。
まず、コロナ禍において無事にフェアを開催できたことに大変安堵し、感謝しております。
今回はじめて大阪市中央公会堂にて開催しましたが、会場内の美しい装飾と作品を見合わせながら、フェアを楽しむ来場者が多く、あらためて現代美術と近代建築の親和性の高さを実感しました。また、そうした贅沢な環境でのフェアに対して、出展者からはいままで以上のやる気や熱意が感じられました。フェアが成功裏に閉幕したのは、出展者の熱き想いもあってのことだと思います。
――いま、アートを買うことの意義は何だと思いますか?
コロナ禍で不安定な社会状況が続いており、心のバランスを取ることも以前より難しくなっていると感じます。
そんなときだからこそ、自宅や職場に作品を飾ることは、生活に彩りが生まれて、心を豊かにするものと考えており、不安定な時代をしなやかに生き抜くひとつの方法として、アートコレクションはとても意義があることだと考えています。
(個人的にも今回のART OSAKAで作品を購入し、自宅にに飾っていますが、毎日見ても「やっぱりいい作品だな」と眺めては癒やされています。)
――今後、アート(作品)との出会いをどのようにつくることができるか。展望などあればお聞かせください。
感染症収束の目処が立たず厳しい状況ですが、ART OSAKAは来年も公会堂で開催予定で、記念すべき20回目を迎えます。
また、2025年の大阪万博に向けても、フェアを主軸に他機関とも連携を図り、大阪・関西から新たなアートシーン、作品との出会いを生み出していけるよう精進して参ります。
会期:2021年7月18日(日)~20日(火)
会場:大阪市中央公会堂 3階 [中集会室/小集会室]
出展ギャラリー:
【大阪】アートコートギャラリー、カペイシャス、DMOARTS、ギャラリーほそかわ、ギャラリーノマル、KAZE ART PLANNING、Nii Fine Arts、ノートギャラリー、+1 art、studio J、TEZUKAYAMA GALLERY、サードギャラリーAya、YOD Gallery、Yoshiaki lnoue Gallery
【京都】ART OFFICE OZASA、芦屋画廊kyoto、COHJU contemporary art 、FINCH ARTS、ギャルリー宮脇、MORI YU GALLERY
【奈良】Gallery OUT of PLACE
【石川】モトヤマイケウチ
【愛知】AIN SOPH DISPATCH、JILL D’ART GALLERY、ケンジタキギャラリー、LAD GALLERY、masayoshi suzuki gallery、NODA CONTEMPORARY
【東京】Contemporary HEIS、eitoeiko、FUMA Contemporary Tokyo|文京アート、Gallery 38、GALLERY KOGURE、GALLERY 麟、ギャラリー椿、hpgrp GALLERY TOKYO、小林画廊、 KOKI ARTS、小山登美夫ギャラリー、メグミオギタギャラリー、MEM、ミヅマアートギャラリー 、 NANZUKA UNDERGROUND、タグチファインアート、ときの忘れもの、万画廊