2022年7月3日（日）、大阪・寺田町にある生野区地方卸売市場跡地にて、関西を拠点にさまざまなパフォーマンス、実験的な表現活動を行う「淡水」と「名前はまだなゐ」の共作『ごっつおもろいスロープ “』を鑑賞した。淡水・菊池航と名前はまだなゐ・杉田真吾との共演はこれまでに何度もあったが、淡水と名前はまだなゐの共演は今回がはじめて。本作は2022年2月に予定していた上演の延期公演となる。

両者とも、いわゆる劇場ではない場所での上演が多く、今回の会場は、かつて卸売市場として使われていた3階建の立体駐車場。観客は、各階の駐車場を連結するスロープを登り、回遊しながら、パフォーマンスを鑑賞する。が、気がつけば、演者も観客もごちゃまぜだ。

2階につながるスロープでは、演者により、ペットボトルが一つひとつ、置かれていく。観客はペットボトルを避けながら、まるで山を登るように蛇行しながら進む。

3階で、「名前はまだなゐ」のメンバーが自らの日常を語り出した。そして全員で手を叩き、ステップを踏み、同じフレーズを連呼する。一方、「淡水」は会場の隅で蠢き、「名前はまだなゐ」と同様のステップを、独自の方法で踏み直す。

最後のスロープを登ると、屋上に出た。
遠くに、通天閣が少し見える。7月3日、通天閣が完成してちょうど110年後のこの日、この場所でこの時間を過ごしていることが懐かしいような不思議な気持ちになった。