本特集では、ドキュメンタリーとフィクションの関係やその境界について向き合いました。それは、「事実」「作為」「理解」というような言葉の定義や、それらに付随する葛藤の輪郭をなぞっていくような作業であり、あらためてドキュメンタリーとフィクションの境界というものがいかに流動的で、相互的関係にあるかを感じています。 人が食べるという行為をインタビューを通して観察・分析してきた独立人類学者の磯野真穂さんとの対談では、他者を理解することについて言葉を交わしました。また、現代フランス哲学、芸術学、映像論をフィールドに文筆業を行う福尾匠さん、同じく、映画や文芸を中心とした評論・文筆活動を行う五所純子さん、そして、劇団「ゆうめい」を主宰し、自身の体験を二次創作的に作品化する脚本&演出家・池田亮さんの寄稿では、立場の異なる三者の視点からドキュメンタリーとフィクションの地平の先になにを見るのかを言葉にしていただきました。 対岸の風景を可視化していくこと、まだ見ぬ世界を知覚すること、その先に結ばれた像が唯一絶対の真実から開放してくれることを信じて。そして、今日もわたしは石をなぞる。 小田香 Kaori Oda ー 1987年大阪生まれ。フィルムメーカー。2016年、タル・ベーラが陣頭指揮するfilm.factoryを修了。第一長編作『鉱 ARAGANE』が山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門にて特別賞受賞。2019年、『セノーテ』がロッテルダム国際映画祭などを巡回。2020年、第1回大島渚賞受賞。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
Editors Memo
2020.04.27

創造活動に寄り添うメディアとして考えること

文: 北村智子[paperC運営事務局]

『paperC』は、おおさか創造千島財団の機関紙として、財団の設立年である2012年に創刊しました。財団自体の活動だけでなく、大阪・関西の創造活動を内外に向けて発信したいという想いを持って、当初から全国各地の関係者や文化施設などに配布。以後、Webへと切り替わる2019年までの間に17号+特別号を発行してきました(機関紙『paperC』はこちらからご覧いただけます)。

創造活動に寄り添うメディアとして考えること
2012年より発行のno.001〜016、Special Issue、paperCの宴(忘年会)のグッズとフライヤー。写真にはないno.017発行(2019年)後、2019年10月にWebサイトへと移行。 photo: Natsumi Kinugasa

大阪府下の創造活動支援を行っているうちに見えてきたのは、多くのアーティストや芸術文化の担い手が、自身の活動の広報に苦心している状況でした。いくらよい活動をしていても、その情報が行き渡らなければ見てもらうことができず、結果として金銭的にも苦しい状況に陥り、最悪の場合、活動が続けられなくなってしまいます。一方で、大阪の芸術文化シーンを伝える媒体は減少しており、外からは現状を知る手立てがほとんどなく(首都圏のある関係者から、「大阪ってアーティストいないですよね」と言われたときは本当にショックでした……)、また府内でも、関与している/興味があるジャンル以外の活動を知る機会が少ないという実態もあり、次第にこの状況を改善すべきではないかと考えるようになりました。

そこで、「創造活動のインフラ整備をミッションとしている我々がやらねば!」と決意。編集担当のMUESUMさん、デザイン担当のUMA/design farmさんと一緒に、paperCをWebへと移行することで、よりタイムリーに情報を発信し、大阪の創造活動の創客への貢献→活性化をはかろうと立ち上がったのです。紙媒体時代のコンセプトや方向性はそのまま引き継ぎ、大阪・関西を拠点に活動する人々の取り組みを、インタビューや寄稿などを通じて丁寧に伝えていくとともに、新たな機能として、府内で行われているアート・カルチャーにまつわるイベントやニュースをオールジャンルで収集・発信。目標は、大阪の芸術文化シーンのいまを俯瞰できるメディアをつくることです。

創造活動に寄り添うメディアとして考えること
紙媒体の『paperC』では、毎号CO-DIALOGUEと題した巻頭対談企画を展開。「寛容な場のあり方」「メディアと人の関わり、そこから生まれるもの」といったテーマを設け、アーティストやクリエイター、研究者など芸術文化に携わる人々による対話を収録した。 photo: Natsumi Kinugasa

いざ展示や公演、イベントなどの情報を収集しはじめると、予想以上にたくさんの多様な活動が行われていることを実感しました(2019年11月だけでも60件近い催しを記事にしました)。大阪は大きな公立文化施設が少ないですが、そのぶん、個人や小さなグループで運営している場の活動が際立ち、そうした個々の情報が一堂に会することで、大阪の躍動のようなものが感じられるのです。それをいろんな方に届けたい。paperCは広告掲載などの営利活動は行っていないので予算の制約もあり、集められる情報は限られていますが、全国的なメディアでは取り上げられない小規模なものでも、ピリッと刺激的で面白い活動は積極的に発信していきたいと思っています。

創造活動に寄り添うメディアとして考えること
2019年12月に行われた山本製菓でのプロジェクト「STUMP OF PROMETHEUS ー姿を聴くためのー」も、小規模ながら企画の豊かさが際立った。フィンランドの写真家と音楽家によるコラボレーション展示で、世界の稀少な木々の写真とその木が発する音像からなるインスタレーションが日替わりで繰り広げられた。元おかき工場の建物内に入ると、木の中にいるような不思議な感覚に。 photo:Tomoko Kitamura

Webメディアへ移行して約半年。うれしいことに、これまでご縁のなかった方からも、情報掲載依頼をいただくようになってきました。「paperCに載せておけば大丈夫(=情報が行き渡る)」と、大阪で芸術文化に携わる方々から思ってもらえるようなメディアになるためには、より多くの読者を獲得することが必須。魅力的な情報に出合えるサイトとして、また読み応えのある、大阪にいる私たちだからこそ書ける記事を届けるサイトとして信頼を得るべく、オフラインの活動(イベントなど)も含めて展開していく予定です。

現在(この記事を執筆したのは2020年4月上旬)はCOVID-19の影響によるイベント自粛で、大阪のライブハウスはもとより、劇場、イベントスペース、ギャラリーなどの施設や、アーティストやクリエイター、テクニカルや制作のスタッフなど、多くの関係者が大変な状況に置かれています。目の前の、そしてこれからやってくる危機を少しでも回避するために、有益な情報を提供するなど臨機応変に動いていきたい。今後も民間団体ならではの柔軟さを生かして、大阪で活動されている方々に寄り添うメディアを目指します。

創造活動に寄り添うメディアとして考えること
コロナ禍で活動自粛が求められる文化・芸術施設への助成を求める署名集めから始まった活動「#SaveOurSpace」のWebサイト。財政支援情報やさまざまな支援プロジェクトをまとめて紹介するなど、情報のハブとしても機能している。

(#SaveOurSpace公式サイトはこちら

北村智子 / Tomoko Kitamura

神奈川県出身。大学で音楽学を学んだ後、就職を経て大学院にてアートマネジメントを専攻。企業の芸術支援に興味を持ち、企業メセナ協議会に入社。その後、大阪で不動産賃貸業の強みを生かしたメセナを展開する千島土地株式会社に勤務。地域創生・社会貢献事業部に所属し、「アヒルプロジェクト」「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」の推進、おおさか創造千島財団の設立などを担当。現在はフリーランスとしてpaperCの運営業務に携わる。芸術文化の表舞台を支えるインフラを整えることがライフワーク。

photo:PHOTO REPORT|劇団kondaba 生駒縦走リサーチ道中
Must Reads
2021.10.04
PHOTO REPORT|劇団kondaba 生駒縦走リサーチ道中
MORE
photo:REVIEW|Wo-Man with a 3rd eye ——The Third Gallery Aya 25周年記念「山沢栄子、岡…
Must Reads
2021.09.30
REVIEW|Wo-Man with a 3rd eye ——The Third Gallery Aya 25周年記念「山沢栄子、岡…
檜山真有
TEXT: 檜山真有 [キュレーター]
MORE
photo:REVIEW|劇団態変主宰・金滿里へのインタビュー、2時間33分。当事者としての障碍者者…
Must Reads
2021.09.30
REVIEW|劇団態変主宰・金滿里へのインタビュー、2時間33分。当事者としての障碍者者…
MORE
photo:REPORT | ジュエリーレーベル「ATAKA」リニューアルオープン
Must Reads
2021.09.27
REPORT | ジュエリーレーベル「ATAKA」リニューアルオープン
MORE
photo:REPORT|森栄喜個展「シボレス|破れたカーディガンの穴から海原を覗く」
Must Reads
2021.09.22
REPORT|森栄喜個展「シボレス|破れたカーディガンの穴から海原を覗く」
MORE
おおさか創造千島財団
#『有頂天家族 二代目の帰朝』#+1 art#+1art#140B#1970年日本万国博覧会#2025年日本万国博覧会#25時#71labo#ABCホール#Alffo Records#ALNLM#ANIMA#architecture#art#ART OSAKA#artgallery opaltimes#ATAKA#blackbird books#Blend Studio#Calo Bookshop & Cafe#CÀRRY HOUSE#CAS#chignitta space#CHOVE CHUVA#CIRCUS OSAKA#Club Daphnia#Club Stomp#coeur ya.#Compufunk#CONPASS#contact Gonzo#cumonos#DELI#DEN#dieci#DMOARTS#dracom#EDANE#enoco#excube#FIGYA#FM COCOLO#FM802#FOLK old book store#FREITAG#fuk 48#FUKUGAN GALLERY#G&S 根雨#Galerie de RIVIERE#gallery nomart#GALLERY wks.#gallery yolcha#gallery,あるゐは#GAMOYON Gallery#gekilin.#gekillin#GLAN FABRIQUE#Gqom#GQOM ÇA DU MODE#GQOM ÇA DU MODE Vol. 2#graf#graf awa#GULIGULI#hanamikoji#HENE#HEP FIVE#HEP HALL#hitoto#HMP Theater Company#HOPKEN#Hotel Noum OSAKA#howse#I SEE ALL#in→dependent theatre#iTohen#JAM#JIKAN<space>#JITSUZAISEI#KAZE ART PLANNING#keshik.jp#kioku手芸館「たんす」#KITAHAMA N Gallery#LIGHT YEARS OSAKA#Lil Soft Tennis#Live Bar FANDANGO#LUCUA 1100#LUCUA osaka#LVDB BOOKS#M@M#MASAGON PARK#MASK#MI Gallery#MOONSLANG#MUESUM#music#Namba Bears#New Life Collection#NEW PURE +#Nii Fine Arts#ninkipen!#NISHIGUCHI KUTSUSHITA STORE OSAKA#NOON + CAFE#NOTA_SHOP#OLGA-goosecandle-#ondo tosabori#Open Storage#Oギャラリーeyes#photo gallery Sai#PINE BROOKLYN#PLANET+1#POL#PONY PONY HUNGRY#Pulp#RAURAUJI#ROCKET#room 209 by silta#SAA#SAKAINOMA café熊#SEWING TABLE COFFEE SO Lei#SHELF#silta#SkiiMa#SkiiMa Gallery#SkiiMa SHINSAIBASHI#SkiiMa Talk#so objects#SOCIALDIA#socket#SOCORE FACTORY#solaris#SpinniNG MiLL#ssud#studio J#SUNABAギャラリー#Super Studio Kitakagaya#TEZUKAYAMA GALLERY#The Blend Apartments#The Blend Inn#THE BOLY OSAKA#The Branch#THE STORIES#The Third Gallery Aya#the three konohana#THOUS#Tobira Records#toe#toi books#TOPOLOGY#TRA-TRAVEL#Tyrni#UMA/design farm#umao#umeda TRAD#VOYAGE KIDS#wad#WEBデザイン#YARD Coffee & Craft Chocolate#YCAM#YOD Gallery#Yoshiaki Inoue Gallery#Yoshiaki lnoue Gallery#Yoshimi Arts#YPY#YUGO.#アートエリアB1#アートコートギャラリー#アシタノシカク#アップリンク京都#アトリエS-pace#アトリエ三月#あべのま#イチノジュウニのヨン#イロリムラ#インディペンデントシアター#ウイングフィールド#うだつ上がる#うめきたシップホール#カール・ハンセン&サン#カイ・T・エリクソン#カペイシャス#キッチンにて#キッチンにて2#キヤノンギャラリー S#ギャラリー オソブランコ#ギャラリー・ソラリス#ギャラリーノマル#ギャラリーほそかわ#グランフロント大阪#クリエイティブセンター大阪#コーポ北加賀屋#ココルーム#コンタクト・ゴンゾ#サイノツノ#シアターセブン#シカク#シネ・ヌーヴォ#シネ・ヌーヴォX#シネ・リーブル梅田#スターバックス LINKSUMEDA#スタンダードブックストア#すみのえアート・ビート#そこにすべてがあった#そこにすべてがあった バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学#テアトル梅田#ディエゴ・テオ#デザイン#デラハジリ#ときめきのテレパシー#どく社#ナイスショップスー#なべたん#ノートギャラリー#のせでん#のせでんアートライン#ハタノワタル#ビッグ・アイ#ビンビール#ピンポン食堂#フライターグ#フラッグスタジオ#ブルームギャラリー#プロダクトデザイン#ペーパーアイテム#ペーパーボイス大阪#ペフ#まがり書房#マヅラ#マリオ・ヴァーバ#ムジカジャポニカ#ももちの世界#モモモグラ#ルチオ・フルチ#レトロ印刷JAM#ロフトプラスワンウエスト#三木学#上林翼#中崎町#中田由美#丼池繊維会館#二艘木洋行#井上亜美#井上嘉和#京都シネマ#人形劇#人形劇団クラルテ#仲村健太郎#依藤貴大#光#八六八ビル#出町座#前田文化#劇団kondaba#劇団壱劇屋#劇団態変#千鳥文化#占星術#原久子#原田祐馬#古地図でたどる大阪24区の履歴書#吉行良平#吉開菜央#吹田市文化会館(メイシアター)#味園ユニバース#喫茶アオツキ#喫茶路地#国立国際美術館#国立民族学博物館#坂口恭平#塚原悠也#夏のホラー秘宝まつり#夕書房#多賀結いの森#夜長堂#大成紙器製作所#大谷賢治郎#大門大朗#大阪ガスビル#大阪くらしの今昔館#大阪中之島美術館#大阪大学#大阪市中央公会堂#大阪府建築士会#大阪府立中央図書館#大阪建築コンクール#大阪日本民芸館#大阪高島屋#大阪髙島屋#宮前良平#小松理虔#山下壮起#山城大督#山本理恵子#山本製菓#岡啓輔#岡部太郎#布施琳太郎#平野愛#御殿山生涯学習美術センター#心の傷を癒すということ#心斎橋PARCO#志賀理江子#拉黒子・達立夫#文房具#日本キリスト教団阿倍野教会#日本橋の家#日野浩志郎#暮らし#暮らしと民藝#服部滋樹#朝野ペコ#本の人#本渡章#東大阪市民美術センター#松本直也#松見拓也#柴田英昭#桜川#梅田Lateral#梅田クラブクアトロ#梅田シャングリラ#梅田ロフト#梅田哲也#森栄喜#森見登美彦#植松琢麿#檜山真有#民藝#水野勝仁#沢村さくら#法華寺#浄土宗應典院#浪曲#淀屋橋見本帖#淀川テクニック#深澤孝史#渡邉朋也#渡部睦子#滋賀県立美術館#演劇#生駒山#田中輝美#白波瀬達也#真山隼人#石原菜々子#神戸映画資料館#福岡市美術館#稲井亮太#第8回 夏のホラー秘宝まつり 2021#第七藝術劇場#笹久保伸#紙器具#維新派#芝野健太#花見小路#茨木市立ギャラリー#藤井泰玄#藤本玲奈#藤谷商店#衝突と恍惚#西淀川アートターミナル#角木正樹#谷口カレー#豊中市立市民ギャラリー#豊中市立文化芸術センター#豊田道倫#豊田道倫 & His Band#赤鹿麻耶#辺口芳典#透視図#里づと#野原万里絵#野田#金子仁司#金氏徹平#金滿里#阪急うめだ本店#阪神梅田本店#障害者運動#難波ベアーズ#青い芝の会#音ビル#音凪#香港インディペンデント映画祭#高原耕平#高橋利明