映画制作集団・空族の特集上映「GOD SPEED YOU!!!」が、2021年12月4日（土）より第七藝術劇場およびシアターセブンにて開催される。2021年、デジタルリマスター版として公開された2011年の代表作『サウダーヂ』の10周年記念企画だ。

空族は“作りたい映画を勝手に作り、勝手に上映する”をモットーに、富田克也、相澤虎之助を中心に2004年に結成された。入念なリサーチのもと、数年間かけ制作される映画には、富田・相澤自身に加え、国内外の撮影地で知り合った仲間などが登場する。また、配給・宣伝を自ら行い、作品の未ソフト化を貫くスタイルも、類を見ない存在感を際立たせる。

本特集の上映作品には、東南アジアを旅するバックパッカーだった相澤によるアジア裏経済3部作の『花物語バビロン』『バビロン2-THE OZAWA-』、中上健次や柳町光男に多大な影響を受け制作された、富田の初監督作『雲の上』といった初期・中期3作が控える。さらに、タイ・ラオスでオールロケを行い、娼婦たちと日本人のユートピアを求める旅を描いた『バンコクナイツ』と、そのメイキング・ドキュメンタリー『映画 潜行一千里』、曹洞宗青年界とタッグを組み、仏教のあり方を問うた『典座-TENZO-』の3つの近作。そして、派遣労働者や日系ブラジル人、アジア人などの外国人労働者の姿から、日本の地方都市の現状に迫った代表作『サウダーヂ』も並ぶ。

日本やアジアを見据え、独特の制作方法で社会や人間を生々しくとらえる空族。映画に登場するのは、抗いようのない生を生きる、猛々しく、そして艶かしくあたたかい人々だ。スクリーンでこそ出会える多彩な作品群を、ぜひ目撃してほしい。