国立民族学博物館(以下、みんぱく)と毎日新聞社が主催する公開講演会「イメージの脈動にふれる」が、2022年3月25日(金)に開催される。本講演会は梅田のオーバルホールを会場に行われるが、定員に達したため申し込みは終了。オンライン中継の参加のみ3月17日(木)まで受け付けている。
みんぱくは、先端的な研究活動とその成果を社会へ還元し、文化人類学・民族学を通じて異文化理解を図ること、また同館が学術研究機関であることを市民へ知り深めてもらうため、学術講演会を行ってきた。
今回は、思想家・人類学者の中沢新一が、チベットの視覚理論について基調講演として解説。みんぱく准教授の川瀬慈がエチオピアの音楽、助教の末森薫が中国・敦煌の石窟壁画のイメージ世界を事例として報告し、3者によるパネルディスカッションも実施する。さまざまなイメージが生成・増殖していく様相を紐解き、人間の制御を超えた「イメージの主体性」を前提とした知や学問のあり方を考える機会となる。
「神話は人間のなかにおいて、人間自身が知らぬまに考え出される」。
文化人類学の巨人、レヴィ=ストロースはそう語りました。神話に限らず、わたしたち人間に内在するイメージ<心象、心像、死後の世界、夢、自然界がもたらす神秘、超越的な存在など>は、人のはからいや制御を超えて生まれ、変化し、融通無碍に世界を形づくります。それはさらに、人の所作を通して活性化され、時に廃れ、人と人のつながりを介して時空を超えて脈打ち、様々な媒体を通して顕現し増殖していきます。【講師紹介】
中沢新一(思想家・人類学者)
1950年、山梨県生まれ。京都大学こころの未来研究センター特任教授、千葉工業大学日本文化再生研究センター所長。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。インド・ネパールでチベット仏教を学び、帰国後、人類の思考全域を視野にいれた研究分野(精神の考古学)を構想・開拓する。著書に『チベットのモーツァルト』『森のバロック』『アースダイバー』『カイエ・ソバージュ』シリーズ、『熊楠の星の時間』ほか多数。近著に『レンマ学』、『アースダイバー 神社編』がある。川瀬慈(国立民族学博物館准教授)
専門は映像人類学、アフリカ地域研究。人類学、シネマ、アート、文学の実践の交差点から映像、音、詩を用いた話法を探究。著書に『ストリートの精霊たち』(2018年、世界思想社、第6回鉄犬ヘテロトピア文学賞)、『エチオピア高原の吟遊詩人うたに生きる者たち』(2020年、音楽之友社、第43回サントリー学芸賞)等。末森薫(国立民族学博物館助教)
博物館における資料保存・管理の実証的研究に携わる。また、中国甘粛省にある仏教石窟、エジプトやバーレーンの考古遺跡等をフィールドとして、美術史・考古学、文化財科学の視点より研究を進めている。著書に『敦煌莫高窟と千仏図-規則性がつくる宗教空間』(2020年、法蔵館)がある。【総合司会】
平野智佳子(国立民族学博物館助教)
文化人類学を専門として、オーストラリアの中央砂漠を中心としたフィールドワークに基づく研究に取り組む。主な研究内容は、アボリジニの飲酒。主要論文として「分配行為にみるアナングのやり方:オーストラリア中央砂漠アボリジニのキャンバス販売と酒の購入資金の獲得の分析から」(2021年、『文化人類学』86巻2号)。【プログラム】
17:30 開場
18:30〜18:35 開会 鯨岡秀紀 (毎日新聞大阪本社・編集局長)
18:35〜18:40 挨拶 ?田憲司 (国立民族学博物館・館長)
18:40〜19:30 【基調講演】「眼とイマージュ」 中沢新一 (思想家・人類学者)
19:30〜19:45 【報告1】「蠟と金―エチオピアの楽師が奏でる生と死のイメージ世界―」川瀬慈(国立民族学博物館・准教授)
19:45〜20:00 【報告2】「色と光がつくりだす敦煌莫高窟のイメージ世界」末森薫(国立民族学博物館・助教)
20:00〜20:15 休憩
20:15〜21:00 【ディスカッション】 中沢新一×川瀬慈×末森薫
21:00 終了(国立民族学博物館Webサイトより)
公開講演会「イメージの脈動にふれる」
会期:2022年3月25日(金)
時間:18:30〜21:00(会場17:30)
会場:オーバルホール
定員:
180名※定員に達したため、会場申込は終了料金:無料
申込方法:Webライブ中継のみ受付中。イベント予約サイトより要事前申し込み
問合:koenkai@minpaku.ac.jp/06-6878-8209