兵庫県佐用郡にアトリエを構える椅子メーカー「Tenon」の展覧会「Tenon Exhibition」が、的形のM1997にて2022年7月3日(日)まで開催中だ。同社の職人・関野央也氏が2022年5月に代表就任したことを機に、これまでのアーカイブ作品や未発表作品を展示。デザインから制作に至るまで、すべての工程を人の手で行うメーカーの仕事に焦点を当てる。
本展には、大阪府堺市のインテリア用品店・藤谷商店も協力。同店が有するコレクションから、関野氏のインスピレーションの原点だという北欧の名作椅子、ハンス J.ウェグナーのCH24(Yチェア、1950)、PPMobler(1965)の2脚が出展されている。緻密な手仕事ながらも、自然素材の不均一ささえも佇まいの美しさに含み込むものづくりの粋を感じたい。
「道具としての椅子」 迎山直樹 * 前Tenon 代表
たくさんのつくり手がいる中で椅子も様々に表現されます。
アートとしての椅子、プロダクトとしての椅子、クラフトとしての椅子。
ものづくりは自分の立ち位置を探していく作業だと思っています。
現在のTENON の立ち位置は「道具としての椅子」です。
作品でもなく商品でもなく「用品」。
日常の中で素っ気なく使いながらも愛着のもてる道具としてありたい。
そんな気持ちで椅子を作ってきましたが、そろそろ世代交代です。
TENON は関野央也が引き継ぎます。
「色気のある道具」関野央也
反復し繰り返されながらもひとつとして同じもののない自然の造形に「色気」を感じます。
会場にある「Leaf」という椅子はまさに葉っぱをモチーフにしています。
アームから背もたれにかけて葉っぱのかたちを人のかたちに同化させることで、
椅子に色気を映し出せるのではないかと考えました。
これからのTenon は自然の造形を椅子の佇まいに重ね、色気のある道具としていきたいと思います。
座っていない時でも、そこにある椅子に少しの温度と湿度を感じて、
日々の生活が少しでも豊かになれば幸いです。
会期:2022年6月4日(土)〜7月3日(日)
時間:11:30〜17:00(土日のみオープン、平日はアポイント制)
会場:M1997
M1997
兵庫県姫路市的形町的形1997