2008年に西天満の第一神明ビルに開廊したYOD Gallery。今般、そのスペースが閉廊することとなり、それを記念した企画展「ありがとう◯YOD Gallery◯うとがりあ」が開催される。出展作家は服部正志。
服部は、「ヒト」の普遍性を追究することをテーマに、「ヒト」をモチーフとしたさまざまな立体作品を制作。同ギャラリーでは5回の個展と2回のグループ展を行ってきた。
本展では、ギャラリー空間そのものを素材と捉えた展示を展開。木版画の技法を用い、壁面一面を版木として彫り、和紙に摺るという行為を通して、服部が開廊当時よりテーマの一つとしてきた「ありがとう」を作品にし、空間全体を変容させる。
会期前半の12月17日(土)〜28日(水)は壁面の彫り、後半の1月4日(水)〜14日(土)は刷りの作業を行い、完成展示までの制作過程を会期を通し公開する。
2008年YOD Gallery開廊時、近くのスタジオで作品を撮影していただいた帰り道、引き寄せられるようにギャラリーに入っていったことが昨日のことのように思う。そして、現在までに5回の個展と2回のグループ展を行い、展示の度に外壁をどうしようか考え、誰もしていない展示方法を探りながら空間に挑んできたことが糧となっている。そんなたくさんの想いが詰まった空間であるが、床の模様だけはいつも気になり続けていた。しかし、今となっては愛おしく思う。
当時、作品の裏側など見えない部分に「ありがとう」を無意識に書いていたことに目を向けてもらい「ありがとう」を用いた作品が生まれ、私にとって欠かすことのできない表現の一つとなった。それから15年の月日が経ち、ギャラリーが移転すると聞いた時、驚きとともにこの機会にしかできないアイデアで頭の中がいっぱいになった。本制作に向けての模型づくりでは、甦ってくる数々の記憶にいちいちニヤリとしていたほどである。
本展覧会は、YOD Galleryへの「ありがとう」を表現するために、ギャラリー壁面を版木として使い、木版画の技法を用いて、空間に刻まれた歴史と大きな「ありがとう」を和紙に写し取ることで、新たなかたちに変容させる。会期の前半は、壁面に下書きした「ありがとう」を彫刻刀で彫り、後半はインクを付けて和紙に摺る予定である。空間の隅々まで、見て、触って、新たに何か発見することを期待しながら、たくさんの「ありがとう」を表現したい。ギャラリーは展示空間であると同時に制作現場でもあり、作業が進むにつれて移り変わる情景を一緒に見届けてほしい。
服部正志
服部 正志
– 神明ビルスペース閉廊企画展 –
「ありがとう◯YOD Gallery◯うとがりあ」会期:2022年12月17日(土)〜2023年1月14日(土)
会場:YOD Gallery
時間:13:00~19:00
休館:日曜、2022年12月29日(木)〜2023年1月3日(火)
問合:06-6364-0775 info@yodgallery.com
大阪市北区西天満4-9-15
第一神明ビル1F