心斎橋のギャラリー・ソラリスにて、黒田和男の写真展「gift」が開催。
黒田は、父の道具や限界集落である実家の風景、戦死した祖父の残した詩集、植物といったモチーフを、フォトグラムなどの古典技法とデジタルのハイブリッドを用いた手法で表現してきた。
本展では、初期作品の《cut flower》から最新作の《kaleid》まで、花をモチーフにした作品をミックスして会場に展開するが、ユニークなのは、展覧会自体を「花屋」に見たてるという点。鑑賞者は、自分の気に入った作品を選んで壁面から取り外し、手元で観ることが可能。その作品を購入する場合は、スタッフが写真を束ねてその場で製本し持ち帰れるという、まさに花屋で花束を買う感覚で自分だけの写真集を入手することができる。
鑑賞者が作品を選び取り去る、という行為は、情報が溢れている現代社会の中から大切なものを認識しようとする、黒田の視点が反映された試みだ。
作品に直接触れたり、鑑賞者が持って移動するという稀有な写真展。作品の「物」としての手触りや、「写真」「本」が持つ魅力を改めて体感できる機会となりそうだ。
黒田和男 略歴
京都市在住。オリジナルと複製、真実と架空、職人性と偶然性といった写真のもつ矛盾を様々な技法で掬い取って発表している。
会期:2023年6月13日(火)〜25日(日)
会場:ギャラリー・ソラリス
時間:11:00~19:00
休廊:6月19日(月)
イベント
6月17日(土)に、ヨコシマコーヒーを招いてコーヒーとカヌレの販売や、黒田和男ギャラリートークを開催。
・13:00〜17:00 ヨコシマコーヒー in ソラリス
・15:00〜16:00 黒田和男ギャラリートーク
予約不要、無料/立ち見のみ、入退出自由
作家自身による作品解説を行う。トークイベント中も入退出は自由。
※来場者多数の場合、入場制限を掛ける場合あり
大阪市中央区南船場3-2-6
大阪農林会館B1F