辰巳直也はこれまで2冊の写真集を発表してきました。
2012年に発表した1st写真集「日本」は、1995年から2011年の間に撮影した、大阪・西成でのポートレート、沖縄の人と風景、そして新宿でのストリートスナップをまとめた三部構成となっています。
2018年の2nd写真集「浅草モノカラー」は、2012年から2018年の間に撮影された浅草でのストリートスナップです。
どちらも、今自分がいる場所から日本の姿を見据えるリアルな作品であり、被写体は変われど一貫した作品の制作姿勢を感じさせます。
今展覧会では、これまでのような都市部ではなく、滋賀県栗東市出庭という地方の姿を見据えた作品となります。作家より
「田舎に帰るのも悪くないかな」
今から四年程前の、とある日にふと思った。
四十二歳という年齢や、勤めていた会社が傾いていた事も、大きな理由としてあった。
実家に戻り、運良く仕事も見つかったが、しばらくは写真から遠ざかっていた。
一年程前、偶然一人暮らしを始めた場所が、実家から車で十分程の距離にある滋賀県栗東市出庭だった。
街中での生活が長かった事もあったのか、若い頃は見向きもしなかった、昔から残る田舎の風景や、路上に咲く草花等が、とても新鮮に思えた。
半径にして一km程の、誰しもが通り過ぎるようなその町で、久しぶりにカメラのシャッターを切り始めた。辰巳直也(たつみ なおや) 略歴
1976年滋賀県生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業。個展、グループ展等多数。2012年、それまでの集大成となる1st写真集「日本」を発表。翌年の日本写真協会新人賞にノミネートされる。
2013年、tokyoarts gallery にて名越啓介、山谷佑介らとグルー プ展「BURST」を開催。
2018年、デザイナー町口景による構成、装丁で2冊目の写真集 「浅草モノカラー」を発行。掲載されている写真が、沖田臥竜の文庫小説「ムショぼけ」 の表紙を飾る。
作品は清里フォトアートミュージアムにも収蔵されている。
現在は滋賀県に在住し、故郷をテーマに撮影を続けている。(ギャラリー・ソラリス提供)
会期:2023年10月24日(火)〜11月5日(日)
会場:ギャラリー・ソラリス
時間:11:00〜19:00
休廊:10月30日(月)
大阪市中央区南船場3-2-6
大阪農林会館B1F