平野の「アトリエひこ」と、そこに隣接する「となりの三軒長屋」にて、展覧会「きいろは じゃない Beyond Yellow Yellow 大江正彦 -大竹央祐」が開催される。
アトリエひこは、ダウン症と重い心臓疾患を伴い生まれた大江正彦(通称:ひこくん)の母が、「好きな絵を思う存分描かせてやりたい」という願いから、同じように障害のある仲間を迎えて1994年に開設。現在も知的障害のある人が集い創作を行っている。
昨年1月、平野郷に突如出現した幻の宮殿UPPALACE(アッパレス)。外壁に大竹央祐の大きな写真作品が設置された時、「ひこくん」こと大江正彦は「きいろー」と指差し「うまいうまい!」と絶賛、拍手しました。そして1月14日、30年間描き続けてきた動物の絵をすっぱりやめて、○を一つ、ひたすらに黄色を塗るシリーズが始まったのです。お母さんに「ひこ、あんた、何描いてるの?リンゴか?卵か?」と聞かれても困った顔をして、「きいろー」と答えるだけです。りんごじゃない、卵じゃない、答えようのない何でもないもの、でもない。この1年間で少しずつ変化していった20点の「きいろ」シリーズをきっかけとなった大竹央祐の写真と共に展示します。
重い知的障害のある大江にとって、幼い頃より絵を描くことはどういうことだったのか、家族や周囲で関わる人たちの誘導や期待はどう影響したのか、自戒を込めた展覧会でもあります。大江の原点とも言える新境地に至る起爆剤を様々な関りで仕込んでくれた若いアーティストたちには感謝しかありません。
アトリエひこ 石﨑史子
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初めてアトリエひこにお邪魔した時にひこさんが描いていたのが青色と黄色の猫の絵だった。
その絵に魅せられて、みんなの筆を取る早さに感動して、アトリエの空間に居させてもらうことにした。
ピアノを弾いたり、絵を描いたり、たまに写真を撮ったり、どこにいる時よりも心地良く、みんなの創作に刺激を受けながら遊んだ日々。
ひこさんにとっての“きいろ”はもしかしたら僕が見ている黄色のことではないかもしれない。
ひこさんのきいろや僕の写真が作品ではないのと同じように。
大竹央祐
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大江正彦
1965年大阪生まれ。6歳より絵を描き始める。12歳、今井祝雄の大念仏寺アトリエに通う。26歳、西垣籌一に出会い、みずのき寮絵画教室(亀岡市)に通う。29歳アトリエひこ設立される。動物画を多く描く。国内外で個展、グループ展多数。2023年58歳アトリエひこ・となりの三軒長屋で開催されたUPPALACE~暇と創造たちの宮殿~を契機に「きいろ」シリーズ始まる。
大竹央祐
1989年大阪生まれ。
京都工芸繊維大学を卒業し、関西を拠点に建築写真家として活動。
地域と建築、人との関係性を表現する活動を行う。
2021年、大阪市此花区にあるThe Blend Inn(現BLEND STUDIO)を中心に、
その建築を取り巻く街並みや人々の関係を捉えた写真集「Beyond Inn Out」を刊行。
写真集をきっかけに此花区の商店街や神社の境内などの街中で写真展を行う。
2023年のUPPALACEにてとなりの三軒長屋の外壁にアトリエの写真を展示。
アトリエひこの活動の中に身を置きながら写真を撮る。
きいろは じゃない
大江正彦 -大竹央祐
UPPALACE 2024 あたらしい友だち vol.1会期:2024年1月24日(水)~3月2日(土) ※火・水・土曜のみ
会場:アトリエひこ・となりの三軒長屋
時間:13:00〜19:00
休廊:月・木・金・日曜
アトリエひこ
となりの三軒長屋
大阪市平野区平野本町4-3-20