人口57万人、有権者数47万人という規模の区長選にもかかわらず、わずか187票差で決着した2022年の東京都杉並区長選挙。この選挙に立候補し現職を破った岸本聡子と彼女を草の根で支えた住民たちに密着したドキュメンタリー『映画 ◯月◯日、区長になる女。』が、2024年2月3日より十三の第七藝術劇場にて大阪公開される。
杉並区での行政主導の再開発・道路拡張・施設再編計画に反対するため、住民たちが擁立したのが、ヨーロッパに暮らしNGO職員として世界の自治体における「公共の再生」を調査してきた岸本聡子だった。本作は「住民主体」の選挙活動を経て岸本が区長に当選するまでを映している。
監督は杉並区在住の劇作家・演出家ぺヤンヌマキ。彼女が長年住むアパートが道路拡張計画により立ち退きの危機にあることを知り、止める方法を自身で調べ動き始めたのが本作制作のきっかけとなった。
監督自身が地域問題の当事者となり、今まで無縁の世界だった選挙、政治の世界へカメラ片手に飛び込み、住民たちと連携し、学び悩む記録でもあり、それ以上に候補者と支援者たちと悩み考えぶつかりながら、合意形成のため対話を積み重ねていくリアルなやり取りが数多く記録されている。「この選挙方法で良いのか?」「住民要求とは?」「政策とは?」「そもそも公共とは?」
本作の重要なテーマとなっている「ミュニシパリズム」(地域に根付いた自治的な民主主義や合意形成を重視する考え方)、自分の住む地域や政治に主体的に関わり自らの手で切り開いていくことについて、映画を通して改めて考えてみたい。
イントロダクション
東京都杉並区。57万人が暮らす緑豊かな街で、行政主導の再開発、道路拡張、施設再編計画が進んでいた。そんな状況のなか迎えた2022年6月の杉並区長選挙。住民たちは、ひとりの候補者を擁立する。ヨーロッパに暮らし、NGO職員として世界の自治体における「公共の再生」を調査してきた岸本聡子だ。地縁なし、政治経験なしの彼女の相手は3期12年続く現職区長。しかも岸本が日本に帰国したのは投票日2ヶ月前。ここから岸本と彼女を擁立した住民との当選を目指しての本気の対話が始まる。監督 ペヤンヌマキ コメント
こんにちは、杉並区に住んで20年になるペヤンヌマキです。
私が住んでいる閑静な住宅街に大きな道路を通す計画があることを知りました。計画が進むと私の家は立ち退きになってしまいます。自分のことに精一杯で社会問題のことなんてちっとも考えてこなかった私ですが、自分の住まいが奪われる危機に直面して初めて、政治や選挙が私たちの生活につながっていることに気づきました。そして・・・カメラを回し始めました。投票率を少しでも上げるために。本当は、猫とまったりお昼寝したり、お気に入りの川沿いを散歩してバードウォッチングを楽しんだりしていたかっただけなんです。だけど黙っていたら、この生活が奪われてしまう。もう黙っちゃいられない!
これは現在私に起きていることであり、杉並区で起きていることであり、どこでも誰にでも起こりうること。
監督プロフィール
劇作家・演出家/演劇ユニット「ブス会*」主宰
現代に生きる女性のリアルをシニカルさと優しさが共存する視点で描き続けてきた。
また脚本家としてテレビドラマなどの映像作品も手がける。
舞台『女のみち』シリーズ、『お母さんが一緒』(第60回岸田國士戯曲賞最終候補作品)、『The VOICE』、明後日プロデュース『ピエタ』、テレビドラマとして『来世ではちゃんとします』シリーズ(テレビ東京)、『特集ドラマ 雨の日』(NHK総合)、『有村架純の撮休』『竹内涼真の撮休』(WOWOW)など。
日程:2024年2月3日(土)〜16日(金)
会場:第七藝術劇場
※上映スケジュール等は劇場Webサイト参照料金:一般1,900円、シニア1,300円、専門・大学生・中高生1,000円 ほか各種割引あり
トークショー
日時:2月3日(土)15:05の回上映後
登壇:ペヤンヌマキ 監督、三輪記子(弁護士)作品情報
2024年/110分/DCP/日本
製作・配給・宣伝・著作:映画 ◯月◯日、区長になる女。製作委員会
監督:ペヤンヌマキ
出演:杉並区民のみなさま
音楽:黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)、向島ゆり子、ブランシャー明日香
プロデューサー:松尾雅人主題歌『黒猫同盟のミュニシパリズム』
作詞・作曲:ブランシャー明日香
歌唱・編曲:黒猫同盟
大阪市淀川区十三本町1-7-27
サンポードシティ6F