大阪を拠点に活動するヤノベケンジは、社会的なメッセージとユニークさを併せ持つ機械彫刻や巨大彫刻を制作する現代美術作家だ。大阪中之島美術館の屋外に展示されている《SHIP’S CAT (Muse)》(2021年)は、同館のシンボルとして多くの人に親しまれている。
この旅をしながら福を運ぶ猫「SHIP’S CAT」のシリーズともなる新作《BIG CAT BANG》が、東京・GINZA SIXの施設中央に位置する吹き抜け空間で、1年以上の長期にわたり展示される。
ヤノベは、1990年代に《タンキング・マシーン》で現代美術シーンに登場し、「トらやん」「ラッキードラゴン」「サン・チャイルド」など時代の物語を包括し強烈なインパクトを持つキャラクターの巨大彫刻をつくり続けている。
そのクリエイションの起点となっているのは、生まれ育った茨木市で幼少期に体験した「廃墟化した万博」(1970年の大阪万国博覧会の跡地)、その中にそびえ立ち続ける岡本太郎の「太陽の塔」だ。
今回発表する新作に登場する浮かぶ宇宙船は、「太陽の塔」へのオマージュ。宇宙船のまわりには無数の宇宙猫が空を舞い、ビッグバンから現在までの宇宙のダイナミズムを新しい生命の物語として紡ぎ出す。
アーティストメッセージ(作品に込めた想い)
35億年前に生命がこの地球に誕生し、5度にわたる生物大量絶滅を乗り越えて、いま私たちは生かされている。生命はどこから来て、そしてどこに行くのか?
岡本太郎が言い放った「芸術は爆発」のテーマを「猫大爆発」という妄想に乗せて、生命と宇宙の神秘のイマジネーションの炸裂をお届けしたい。
混迷と危機の世紀に立つ現在だからこそ、我々は想像と創造を爆発させ、宇宙からの俯瞰した視点を獲得しなければならないのだ。
なお、東京・南青山にある岡本太郎記念館では、2024年7月からヤノベの個展「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」(仮)が開催予定。
また、大阪空港駅改札外エントランスには、ヤノベが原画・監修を手がけた大型ステンドグラス《生命の旅》が2024年3月設置されたばかり。ヤノベの作品に多方面から注目が集まっている。
ヤノベケンジ プロフィール
現代美術作家/京都芸術大学教授
1965年、大阪生まれ。1990年代初頭より、「現代社会におけるサヴァイヴァル」をテーマに機能性を持つ大型機械彫刻を制作。
ユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた作品群は国内外から評価が高い。2017年、「船乗り猫」をモチーフにした、旅の守り神「SHIP’S CAT」シリーズを制作開始。2022年に開館した大阪中之島美術館のシンボルとして「SHIP’S CAT(Muse)」(2021)が恒久設置される。
ヤノベケンジ《BIG CAT BANG》展示
期間:2024年4月5日(金)〜2025年夏(予定)
会場:GINZA SIX 2F 中央吹き抜け
主催:GINZA SIXリテールマネジメント株式会社
協力:岡本太郎記念館関連情報
「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」(仮)
会期:2024年7月12日(金)〜11月10日(日)
会場:岡本太郎記念館(東京都港区南青山6-1-19)
東京都中央区銀座6丁目10-1