+1artでは 昨年度より新たな企画「プラスプラス*」をスタートしました。これは、音を素材にしたり、音をイメージした作品を制作する若手作家を支援するシリーズ企画です。想定外の事態に揺れる、この激動の時代にあって、表現行為はさらに多様になり想定外の作品がこれから次々に生まれる予感がします。本プロジェクトはギャラリー空間がその起点となることを期待するものです。
プラスプラスプロジェクトの第5回目となる本展は、作曲家と美術家のコラボレーションによる音と空間造形のインスタレーションをご覧いただきます 。作曲家、山根明季子は物質、空間、サブカルチャー、ゲーム、デジタル表現から受けた影響を、音に変換する作品制作を行ってきました。《Overlap》 と題した本展では、大量生産と成長を迫られる消費社会下での音と音の重なりに着目しました。この過剰な音の重なりがドーパミンを誘発させ ていると山根は言います。会場に配置した8つのスピーカーから複数のビート(リズムパターン)を同時再生し、ビートが重なるサウンドインスタレーションを行います。また、音の飽和と重なりに焦点を置いたテキストスコア《状態》は、本展用にマルチプルとして制作されたカードを展示します。
野口ちとせは、音をテーマにした独自のインスタレーションや、赤い巨大鉛筆を増殖させるプロジェクトを通じて所有という行為について、自身への問いかけを続けてきました。本展では、山根のテキストスコアの「空間をピンクにする」を実践します。また、本展で展示される山根のスコアマルチプルのプロデュースを担当しました。 二人の作家が捉えた《Overlap》の表現は、コラボレーションによってさらなる重なりを生むことでしょう。
また、会期中に行われるJunya HiranoによるDJ と 野営地によるパフォーマンスはいずれも、山根明季子が本展に因んでプロデュースしたプログラムです。こちらも必見です 。
【*「プラスプラス ¡plas,plas!」は拍手音を表すスペイン語のオノマトペ。】山根明季子
1982年大阪生まれ。 京都市立芸術大学作曲専攻修了。 西洋芸術音楽の文脈より活動を開始。 フルオーケストラ、器楽独奏から各種メディアのための作品まで制作を続ける。 肌感覚を通して資本主義下での過剰さ、痛み、可愛さなどを扱い、作品はこれまでにワルシャワの秋、ムジカノヴァヘルシンキ、N響Music Tomorrowなど国内外で上演されている。野口ちとせ
大阪生まれ。 1990年初個展、以来国内外での展覧会多数(米、仏、韓国、ハンガリー)。 『音・空・観』と題した造形やインスタレーションを展開し、近年は作品を媒体に生活空間を共有するプロジェクトを行っている。 2015年から開始した巨大な鉛筆のオブジェ《マララの鉛筆 For Malalas》をシンボルとしたマララプロジェクトでは、高知西南の町と連携し、高さ2~3Mの赤い鉛筆80本余りを公道沿いや道の駅、廃校、民家に立てた。 途上国の女子教育を支援する赤い鉛筆は、持続可能な世界の実現を目指し、辺地でいまも増殖している。(プレスリリースより)
プラスプラスプロジェクト vol.5
Overlap 山根明季子+野口ちとせ会期:2024年5月29日(水)〜6 月15日(土)
会場:+1art
時間:12:00~19:00(最終日は~17:00)
休廊:日〜火曜
会期中催し(会場は +1art)
ライブ
日時:6月1日(土)17:00〜18:00
出演:Junya Hirano(environment 0g/remodel) DJ
料金:2,000円
定員:15名 ※要メール予約 gal@plus1art.jpクロージング
日時: 6月15日(土)16:00〜17:00
出演:野営地(パフォーマンス集団)
参加費:500円
※予約不要同時期開催
山本紗佑里「有機の値打ち」
会期:6月5日(水)~15日(土)
会場:+2 (+1artから徒歩5分)
時間:13:00~19:00
休廊:日〜火曜
大阪市中央区谷町6-4-40