大阪メトロ御堂筋線の緑地公園駅から徒歩数分の、マンションの1階にある書店「blackbird books」。2014年にオープンした店内には、文学、人文学、アートブック、写真集、絵本などが並び、取り扱う書籍に関連する絵画や写真などの作品展もたびたび開催されてきた。
同店が2024年6月10日に10周年を迎えるのを記念して、画家で絵本作家の阿部海太の個展「パレードを見送る日々」が開催される。
阿部は2021年に『ぼくがふえをふいたら』(岩波書店)で第26回日本絵本賞を受賞するなど、近年活躍が目覚ましいが、blackbird booksとは開店当初から交流を続けている。
今回の展示にあたり、阿部は「本」をテーマに全作品を描き下ろし、またblackbird booksへの想いをこめた詩も創作した。
作家と書店の長年にわたる関わりから生まれた作品群を、同店に置かれている阿部がこれまでに手がけた絵本などと共に堪能したい。
「パレードを見送る日々」
本棚を行く
そのパレードの足音は
花がひらくときの静けさで
呼びとめて聞くは
夜通し続く告白と
朝食前の祈りの言葉
坂を登り来る
子どもたちの声が
今日もパレードの列を
少しだけ乱す
去りゆくものを見送る
この平凡な日々が
いつまでも
いつまでも続けよと
黒い鳥が歌っている
阿部海太
画家・絵本作家。1986年生まれ。神話や根源的なイメージをモチーフに絵本や絵画作品を発表。書籍の装画なども手掛ける。『ぼくがふえをふいたら』(岩波書店)で第26回日本絵本賞を受賞。その他著書に『みち』(リトルモア)、『みずのこどもたち』(佼成出版社)、『めざめる』(あかね書房)、『きょうも かぜは いろづいて』(岩波書店)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)、『えほん遠野物語 しびと』(汐文社)、『ほっきょくでうしをうつ』(岩崎書店)、『わたしはきめた 日本の憲法 最初の話』(ほるぷ出版)など。2022年夏より岐阜県郡上市在住。山の麓で絵を描きつつ暮らしている。
blackbird books10周年記念
阿部海太個展「パレードを見送る日々」会期:2024年6月8日(土)〜30日(日)
※最初の土・日曜(共に午後から)と会期後半に作家在廊予定会場:blackbird books
時間:10:00~19:00(初日は13:00スタート)
定休:月曜、第3火曜日
問合:06-7173-9286
豊中市寺内2-12-1
緑地ハッピーハイツ1F