大阪市内の2つのギャラリーのディレクター、菰田寿允(Marco Gallery)と岡田慎平(TEZUKAYAMA GALLERY)が2024年7月にオープンした、同時代のARTを発信する場「PoP (Point of Parallel) 」にて、グループ展「これまでとこれから、そして今」が開催される。
展覧会ステートメント
本展では、ある中年男性の今っぽくないが、大切に思えるストーリーが出発点になっている。
それは、ふと人生の節目を感じて、かつて自分の人生に関わってくれた旧友の家を訪ね回り、皆で再会し酒を交わし、「これまでとこれから」を考えた男の実話である。
ここで少し、PoP について言及させていただければと思う。PoP は、さまざまな人が行き交い、自分 1 人では、想像もつかないような発見や学びを得られる場所であり、化学反応が起きる実験所となることを目指している。
その意味で今回は、特定の人物のノンフィクションの何気ないように見えるが、今の私たちに大切な示唆を含む彼の話をきっかけに化学反応を起こせないか、ということを考えた。
この物語を通せば、現代において「思い出」や「記憶」と「実際の接触(フィジカルなコミュニケーション)」を伴った人との関わり合いについて検討することができるのではないか、ひいては、便利になるほどに希薄化するようにも思える現代における人との関わりあいを見つめることにもつながるのではないかと考えたのである。
余談にはなるが、人間関係における距離感の変化に伴う孤独化、高齢社会における孤独と寿命の相関関係はかねてより、学術的な調査がなされている。
このことを踏まえると尚更、この物語は、現実的に私たちのコミュニティ形成のあり方についても学びになることがあるのではないだろうか。
出展アーティスト
東京を拠点に活動。
1995年東京都生まれ。
2017年多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻卒業。
2017~2022年 同大学の統合デザイン学科研究室に副手・助手として勤務。
刺繍やコラージュをした布を土台に、転写紙と布を熱プレスして印刷する技法(昇華転写プリント)を用いて作品を制作する。昇華転写プリントはポリエステル素材のみに反応する特性があり、綿やレーヨンなどの異なる素材を組み合わせることによって、画面上には偶発的な歪みや空白が生まれる。この手法を用いて、写真からの情報だけでは捉えることのできないモチーフが纏う気配や空気感を引き出す。
視点を変えることでそのものが持つ意味や認識が変化する事に関心を抱き、異質なモチーフを組み合わせる事で固有の文脈から切り離した状態にし、新たなイメージへと転換させる。
作品には骸骨、鶏頭、昆虫、爬虫類など様々なモチーフがメタファーとして組み込まれている。コラージュ的に構成されたモチーフ同士の関係性に注意深く思考を巡らせる事で、作品は多様な解釈やストーリーへと繋がりを見せ、鑑賞者の想像力を掻き立てる。
近年はアトリエの壁に無造作に貼り付けたドローイングや立体作品のマケットなど、恣意的なモチーフをメタ視点で再構成した絵画作品を制作している。画面からは目の前に広がる状況やこの世界の有り様を冷静かつシニカルに見つめる作家自身の眼差しを感じさせる。
美術家。1987年福岡県生まれ。九州産業大学 博士前期課程 芸術研究科 美術専攻 修了。
私の絵画は現実やネット上のモチーフ、風景、記号を解体、再構築して作られています。
リアルとネットが融合する現代の日常感覚や日々更新されると同時に忘却されていく情報を絵画によって記録できないかと考えています。
出展ディレクター
菰田寿允 | Toshimitsu Komoda
大阪府出身。
同志社大学大学院法学研究科修士課程修了。クロスオーバーというコンセプトの下、 作家と共にMarco Galleryを始め、展覧会の企画や国内外のアートフェアへの参加などを行なっている。まるで生きている時代や社会に呼応するようにしてアーティストたちが表現するものが文化や国、時間を超えて、どこかの誰かによって読み解かれ、その人にとってアーティストが生み出した作品群が、アーティストの生きた時代や社会を紐解くための知覚的な参考書となることを期待している。岡田慎平 | Shinpei Okada
大阪府出身。
2014年から現在までTEZUKAYAMA GALLERYに勤務。ギャラリーでの展覧会企画、プレス対応、出版物の編集業務のほか、国内外のアートフェアにて所属アーティストの紹介を行う。個人でも展覧会、アートフェアの企画運営を複数手掛ける。2020年から共同代表として大阪にてアートフェア「DELTA」を立ち上げ、現在まで活動。同年より、ART OSAKAの運営にも関わる。大阪を中心とした美術業界の活性化に従事している。小田和幸 | Kazuyuki Oda
2017年に人生初、ペイント作品を購入。
しばらくは大人しくしていたものが、ある作家さんとの出会いで再び燃えあがる。もともと幼少期より収集癖があり、その最終形態として作品を作家さんよりお預かりする事に目覚める。私は私なりに作家さんと作品を大切にしていきます。
Group Exhibition「これまでとこれから、そして今」
出展作家 : 石川晶子、大江慶之、斉木駿介会期 : 2024年11月23日(土・祝)〜 12月22日(日)
会場:PoP (Point of Parallel)
時間:13:00〜18:00(最終日は17:00まで)
休廊:月・火曜
大阪市中央区南船場4-12-25
竹本ビル4F
※1階はMarco Gallery