
在日韓国人2世の身体表現芸術家で、障碍者だけのパフォーマンス集団「態変(たいへん)」を主宰する金滿里(きむ・まんり)が、自身の半生を綴った著書『生きることのはじまり』。2024年6月に人々舎から新装復刻し発売された本著の装画を手がけた画家・ミロコマチコの原画が、2025年3月12日(水)より緑地公園のblackbird booksにて展示される。
展示期間中は会場にて、この本を28年ぶりに復刻した人々舎・樋口氏による長いあとがき、編集の裏話などを収録したZINEが無料配布される。
私はそういう環境の中で、自分も含めて人間の心理というものを考えるようになった。それは、善も悪も別々に存在するのではなく、一人の人間の中に同時にあるのだ、ということだった。良い人と悪い人がいるのではなく、一人の中に両方が存在する。たまたまそのときにどちらかが出るだけで、絶対的に善い人なんていない。特に極限状態では、悪の部分が出るほうが自然であり、本音なのだ。
だからこそ、ふだんからこの本音を見つめていかないと、人間として弱くなる、と思った。自分の中にも弱さや悪の部分がある。それに目をつぶって見ないふりをしていると、かえって知らず知らずのうちにその部分に引きずられてしまうのだ。
(「第 二 章 障碍児施設へ」より)障碍者だけのパフォーマンス集団「態変(たいへん)」の主宰者が、想像を絶する極限状況を生き延び、人間の本質を問い続けた「生きること」の物語。

金滿里『生きることのはじまり』刊行記念
ミロコマチコ装画巡回展会期:2025年3月12日(水)〜30日(日)
会場:blackbird books
時間:10:00〜19:00
定休:月曜、第3火曜
問合:06-7173-9286
豊中市寺内2-12-1
緑地ハッピーハイツ1F