
1985年に大正区に開設された関西沖縄文庫は、沖縄に関する図書の貸し出しおよび販売をはじめ、大正区のフィールドワークやライブ企画など、さまざまな文化活動を行っている。
今般、1903年の第五回内国勧業博覧会で実施された人間の展示を起点として、今なお博覧会に熱狂する人々と社会を検証していくための催しを、継続的に企画していくことが決まった。そのキックオフとして、キュレーターに小原真史を迎えた展覧会「博覧会の残像」が、2025年10月15日(水) ~ 19日(日) の5日間、阿波座の大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco]にて開催される。
会期中の10月18日(土)には、大阪大学中之島芸術センターにて、シンポジウム「終わらない博覧会:人類館から大阪・関西万博まで」も開催。
展覧会について
2025年10月に大阪・関西万博が閉幕を迎えますが、19世紀に世界中に広がった博覧会という制度が積み残してきたさまざまな課題が多々あるという意味では、博覧会は未だ終わっていないとも言えます。博覧会は資本主義やツーリズム、レイシズム、コロニアリズム、戦争などとも深く関わっており、産業製品の展示を通じた国威発揚という側面もありました。
キュレーターの小原真史氏が所蔵する博覧会関係資料から構成される本展では、1903年に大阪で開催された第五回内国勧業博覧会で物議をかもした人類館をはじめ、1912年と13年に東京と大阪で植民地をテーマにして開催された拓殖博覧会、1930年代から各地で開催された国防博覧会など、華やかな博覧会のイメージに隠れてきた側面に着目します。関西での万博開催と戦後80年を機にあらためて博覧会とは何だったのかを問い直します。シンポジウムについて
第一部では、本展キュレーターの小原真史氏による基調講演を行い、博覧会の歴史や眼差しのあり方への解像度を深めていきます。
第二部では、金城カナグスク馨(関西沖縄文庫)、小原真史(本展キュレーター、東京工芸大学准教授)、五月女賢司(大阪国際大学准教授)、多原良子(アイヌ女性会議 メノコモシモシ 代表)の4名で「終わらない博覧会」というテーマのもとトークセッションを行います。(主催者)
キュレーター プロフィール
小原真史(こはら・まさし)
東京工芸大学准教授。主な著書に、『富士幻景――近代日本と富士の病』『帝国の祭典――博覧会と〈人間の展示〉』など。監督作品に『カメラになった男――写真家中平卓馬』がある。主な展覧会企画に、「荒木経惟写真集展 アラーキー」「小島一郎 北へ/北から」展、「宮崎学 自然の鉛筆」展、「増山たづ子 すべて写真になる日まで」展、「イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示」展、「スペクタクルの博覧会」展など。重森弘淹写真評論賞、日本写真協会賞学芸賞などを受賞。
会期:2025年10月15日(水) ~ 19日(日)
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco] ルーム2
時間:11:00~20:00 ※最終日10月19日は11:00〜16:00
入場料:500円(高校生以下無料)
シンポジウム「終わらない博覧会:人類館から大阪・関西万博まで」
日時:2025年10月18日(土)19:15~21:15(19:00開場)
会場:大阪大学中之島芸術センター 3Fスタジオ
登壇:
金城カナグスク馨(関西沖縄文庫)
小原真史(本展キュレーター、東京工芸大学准教授)
五月女賢司(大阪国際大学准教授)
多原良子(アイヌ女性会議 メノコモシモシ 代表)
入場料:1,000円
定員:100名 ※予約はこちらから主催・問合:関西沖縄文庫 06-6552-6709
大阪市西区江之子島2-1-34
大阪市北区中之島4丁目3-53