
2025年1月に東梅田にオープンした現代アートギャラリー「ICHION CONTEMPORARY」にて、 2026年2月3日(火)から28日(土)まで、展覧会 「Sleeping Face, Splitting World, Stick Needles Into the Eyes 眠る顔に針を刺すとき」が開催される。
本展は、アーティスト・R E M Aが運営する共同スタジオ「ANTI MORAL SCHOOL」が主催。R E M AとANTI MORAL SCHOOLを拠点とするペインター・川上愛理、家具作家の平城侑樹、ボタニカルアーティストのSYO TANiiが参加する。
展覧会は、「情報とイメージが暴力的に飽和する現代において、私たちは目の前にあるものを本当に『見ている』と言えるのか」という問いを起点に構成される。
悲惨さとユーモアが同じ画面上で並列化される時代に、感覚や倫理はどのように立ち上がり得るのか。 その切実な問題意識を、作家それぞれの表現を通して提示する。
展覧会ステートメント
本展のタイトル「Sleeping Face, Splitting World, Stick Needles Into the Eyes 眠る顔に針を刺すとき」は、見る、あるいは眼を覚ますこと、そして、破壊された倫理を回復するための詩だ。
今回展覧会のテーマについて話し合う中で、情報とイメージが暴力的に飽和した現代において、「目の前に見えるものを本当に”見ている”と言えるのか」という問いが私たちに生まれた。
明け方、眠れずにリール動画を流し見ているとそれが私の目を止めた。
朝日が差しこんだ薄明るい灰色の瓦礫の中に、男の子がいる。
10歳くらいに見える背丈の男の子が、鮮明な赤と白の大きな肉の塊を抱きかかえ立ち尽くしている。
翻訳をかけたキャプションには、少年は母を抱いている、と書かれていた。
咄嗟にそばで眠る母の顔を見て、なぜか涙がとめどなく流れ落ちた。
その瞬間私は、初めてその事実を「見た」と言えるほどはっきりと感覚することができたのだ。眠っている顔と引き裂かれていく世界。
今ここにある日常と、耐え難い現実。
この切迫した事実を前に、私たちはどこまで目を開き続けることができるのか。R E M A は、Ana Mendieta 作品のパスティーシュを通じて、倫理が環境や状況によって容易に揺らぎ、変質することを露わにする。
川上愛理は、病院での手術経験を起点に「hospital(病院)」と「hospitality(他者を想うまなざし)」を行き来しながら、身体の記憶と倫理を絵画へと翻訳する。
椅子作家の平城侑樹による椅子と、ボタニカルアーティストのSYO TANiiによる植物の生成的な介入は、空間に呼吸を与え、作品と人との間に新たな循環を生み出す。本展は、異なる素材と身体を媒介とした四者の錬金的な対話であり、見ることと感じることの間にある倫理と感覚を、私たちの身体へ取り戻す為の試みである。
村上龍の小説『ピアッシング』冒頭に描かれる、毎晩、眠る赤ん坊を前にアイスピックを突き刺してしまうかもしれない、という強迫観念に取り憑かれ、冷や汗を掻きながら鋭い針を手に握りしめて立つ男のイメージは、「突き刺さない」という選択にある倫理を象徴している。
目に針を刺すときは今だ。
Sleeping Face, Splitting World, Stick Needles Into the Eyes 眠る顔に針を刺すとき
会期:2026年2月3日(火)~28日(土)
会場:ICHION CONTEMPORARY
時間:11:00~18:00 ※最終入場17:30
休館:日・月曜、祝日
料金:入場無料
問合:06-6364-1111
大阪市北区野崎町9-7







