
言語化できない事象を抽象的かつコンセプチュアルな視点から読み解くアーティストを招聘し、展覧会やトークイベントなどを開催している山王のSUCHSIZE(サッチサイズ)で、過去に開催した展覧会を哲学の視点から読み解くトークシリーズ「ReviewReview」がスタート。第1回が2026年8月2日(日)に開催される。
「Identity and Transformation 同一性と変化」
バウハウスやブラック・マウンテン・カレッジといった20世紀の美術学校は、理論と実践を分かちがたく結びつけることにより、ジョセフ・アルバースやロバート・ラウシェンバーグらの独創的な表現を育む豊かな土壌となりました。 SUCHSIZEでは、こうした教育をモデルとした領域交流を推進することで、芸術の制作や鑑賞に「新たな読み解き」を提示するプログラム『ReviewReview』を始動します。
本プログラムは、SUCHSIZEで開催されてきた展覧会におけるさまざまなキーワードを、哲学や精神医学といった視点から「再翻訳」する試みです。展覧会の事後研究として、実際の展示で具現化されたテーマの応用可能性や社会的な意義を明らかにします。
2026年度は、哲学研究者の和田太洋氏をリサーチャーとして、さらに3名の哲学者をゲストとして迎えます。このように、現代哲学の視座からキーワードを再解釈することは、アーティストや鑑賞者のみならず、あらゆる人々にとっての「思考の道具立て」ないし実践的な知を提供すると信じています。
第1回は、2025年冬展『Unnamed hours』より木下令子氏の作品をとりあげ、「同一性と変化」についてのトークを開催します。 木下氏の《日照時間》は、表面に塗布された感光剤が日光に反応することで、展示期間中も徐々に姿を変えていきます。このような作品のあり方は、変化するものを私たちは何を根拠に「同じもの」と認識しているのかという問いを投げかけます。
本イベントでは、哲学研究者の大畑浩志氏を招き、同一性や変化という概念への思考を深めます。その議論は、私は本当にいつも同じ「私」でいるのかという問いにも確かな示唆を与えるでしょう。目まぐるしく状況が変化し、みずからも変わらざるを得ない現代において、自分という存在の一貫性を捉えなおす機会を提供します。
(主催者)
–
登壇者プロフィール
大畑浩志
1993年生まれ。大学教員、哲学研究者。博士(文学)。分析哲学における形而上学や科学哲学を専門とする。主な論文・論考に、「量子的対象とは何か:このもの主義的束理論に基づくアプローチ」(『科学基礎論研究』51巻、2024年)や、「「同じものだとみなさざるを得ない」ことの強制性について」(『25年後の東浩紀』、読書人、2024年)など。芸術に関しては、分析美学と作品批評のあいだのようなアプローチをとれないか模索中。木下令子
1982年熊本県生まれ、2009年武蔵野美術大学大学院 造形研究科美術専攻油絵コース修了。東京都在住。「うつろう時間の経過を絵にすることはできるだろうか」という問いから、光や時間がどのように支持体へ滞在し、像として留まりうるかという考察を軸とした制作を行っている。感光や日焼け、皺、折り目などの不可逆的な変化を起点に、スプレーガンによる描画や光による定着を用いながら、像が立ち上がるまでの時間や、固定される以前の状態を扱っている。https://reikokinoshita.tumblr.com/和田太洋
ホノルル生まれ。アメリカ哲学を基盤に、知覚における予測作用の働きを研究している。関西を中心に、展覧会やパフォーマンスのレビュー執筆、アートイベントでの通訳を行う。主な論考に「身体と信頼」(『SPIN-OFF』、2024年)、「清掃の手法と排他性」(KIKA cas note、2024年)などがある。
ReviewReview vol.1 同一性と変化
大畑浩志×木下令子×和田太洋日時:2026年8月2日(日)16:00〜17:30
※18:00からアフターパーティー有会場:SUCHSIZE
料金:入場無料
※先着15名様は椅子席あり(予約不要)
主催:SUCHSIZE
助成:大阪市
大阪市西成区山王1-6-20


