本特集では、ドキュメンタリーとフィクションの関係やその境界について向き合いました。それは、「事実」「作為」「理解」というような言葉の定義や、それらに付随する葛藤の輪郭をなぞっていくような作業であり、あらためてドキュメンタリーとフィクションの境界というものがいかに流動的で、相互的関係にあるかを感じています。 人が食べるという行為をインタビューを通して観察・分析してきた独立人類学者の磯野真穂さんとの対談では、他者を理解することについて言葉を交わしました。また、現代フランス哲学、芸術学、映像論をフィールドに文筆業を行う福尾匠さん、同じく、映画や文芸を中心とした評論・文筆活動を行う五所純子さん、そして、劇団「ゆうめい」を主宰し、自身の体験を二次創作的に作品化する脚本&演出家・池田亮さんの寄稿では、立場の異なる三者の視点からドキュメンタリーとフィクションの地平の先になにを見るのかを言葉にしていただきました。 対岸の風景を可視化していくこと、まだ見ぬ世界を知覚すること、その先に結ばれた像が唯一絶対の真実から開放してくれることを信じて。そして、今日もわたしは石をなぞる。 小田香 Kaori Oda ー 1987年大阪生まれ。フィルムメーカー。2016年、タル・ベーラが陣頭指揮するfilm.factoryを修了。第一長編作『鉱 ARAGANE』が山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門にて特別賞受賞。2019年、『セノーテ』がロッテルダム国際映画祭などを巡回。2020年、第1回大島渚賞受賞。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
Event
2021.05.24
#JITSUZAISEI#ART#EXHIBITION

現代美術作家・二艘木洋行の個展「ボーイ・ミーツ・発達障害・それぞれの」、
クリエイティブスペース「JITSUZAISEI」にて開催。

アーティスト・MINAMI MIYAJIMAが、クラウドファンディングを経て2021年4月に大阪某所に開設したクリエイティブスペース「JITSUZAISEI」にて、二艘木洋行展 「ボーイ・ミーツ・発達障害・それぞれの」が開催される。

二艘木は1983年生まれの現代美術作家。お絵描き掲示板のペイントツールで描いたデジタル作品や、突然変異のようなペインティングやドローイングによって注目を集め、特異な存在感を放っている。
主な展覧会に「プロミスフレンズニアレストネイバーランド前」TALION GALLERY(東京、2014年)、「VOCA現代美術の展望」上野の森美術館(東京、2014年)、「East Asia Culture City 2019≪3^×=∞ ound Town≫」仁川アートプラットフォーム(韓国・仁川、2019年)、「ハッピーアワー」VOU/棒(京都2020年)などがある。

今回の展示では、アナログとデジタルとの融合によるインスタレーションを展開する。

自分は物事や出来事の意味や必然性を考える時、運命論的な考えになることが多い。

いつどこで、偶然誰に会って、たまたま何かが起こった。その時何を考えて、どう行動したか。

起こった出来事の重要性を考える時、運命的な感覚を得る。

あらかじめ決められたとは思わないけど、あらゆる偶然の出来事や出会いが、自分の心を動かし未来への道となる。
このドキュメンタリックなリアル感は、チャンスオペレーションを組み込んだ作品作りや、展覧会にも多大に影響してます。

最近は発達障害について考えることが多くなり、今のリアルとして何かを留めておきたい衝動で、この文章を書いてます。

メンタルクリニックに通いはじめて半年ほどたつ。

理由はお付き合いしていた女性とコミュニケーションが上手くいかず、振られたからだ。

失恋によってメンタルを病んだ訳では全くなく、むしろ逆で、無自覚に相手が望まない言葉や態度をとってしまい、相手のメンタルを病ませてしまう。
そんな自分が理解不能で、何とか関係を修復できないか、と通い始めた。

先生に診察してもらって、自閉スペクトラム症という診断がおりた。聞き慣れない名前だけど、スペクトラムは連続体という意味で、いわゆる重めの症状(自閉症)〜軽度のものまで虹のように幅広い発達障害の症状を指す。

アスペルガー症候群なんかも、この診断のうちに入る。

この症状について少し書きます。

近年では職場などの社会におけるコミュニケーションの不和からくる生きづらさや、「大人の発達障害」という言葉が認知されたことにより、もしかして私もそうかもしれない、、といった動機から、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる軽度の症状の方等も多く受診されている。

そしてこの症状は、病気というより生まれ持った脳の機能の障害を起因とした、性格的なものとして認識されており、薬などで治すというより、療育(治療と教育)が大事になってくる。
スペクトラムの名の通り、症状や傾向は個人差があり、他の精神疾患を併発していることも多いそうです。子供の頃から症状が顕著だったら、早い時期からの療育(それも個々の特性に合わせた)が本人にとっても、周りにとっても生きづらさから抜け出す足掛かりになるはずです。

自分の話に戻ります。

例に漏れず僕も「大人の発達障害」に当てはまり、幼少期は際立った障害もなく、少なくも友達はおり、ごく普通に学校生活を送っていました。
思い返すと、アレっと思う出来事もあったりするけど、多分周りから見て「シャイで少し変わったところもあるヤツだな。」くらいの感じだったと思われます。

大人になるにつれて、部分的には社会に適応するところもあり、絵の道を志してからはアーティストとしての性質というような免罪符もついてしまった。

つまりはちょっと変わってても別に構わない。(そして側から見ても、ちょっと変わっていても、芸術家だからしょうがないよね。になる。)

現代美術などの世界観にある、モダニズム的な考えとしてより良いものを、より新しいものを、より新しい解釈を、これまでの概念を刷新するような表現を求めたりするところに、他人と違う性質というのは都合が良かったのです。

少数派の脳には都合の良い解釈とも言えるかもしれないし、ある意味では社会との適応ともいえるかもしれない。
(この症状は本人が社会生活を送る上で、問題を感じてなければ「障害」にならず、病院に行く必要も何もないのです!まさにそれってただの性格じゃん!?)

自分の変わった部分に、そこまで深刻にならずにのほほんとやってこれた、これは理解や見立ての甘さだと思う。

症状の一つに非言語による、程度の理解が乏しいということがある。自分が思っている自己評価よりも、他人からのそれとは想像以上に剥離があったりする。
これは作品作りに一つ影響として、他人が扱うのを躊躇してしまうようなモチーフや言葉を、ためらいなく挿入できたり、(さらなる独自の正誤判断で)敢えて扱えたりする。

意味のありすぎる文字や男性器など、絵の中の暴力性には他の症状とも絡んでくるように思う。
僕と付き合いの長い人は思い当たる節があるかもしれないが、人当たりの柔らかさと相反して驚くほど冷たい言葉や態度をとったりすることがある。
とても思いやりがなく、エゴイスティックで、他人を見下すような、そして怒りにも似た感情に見える。
作品の中での大胆さは、こういった症状の影響や背景もあるな。と思えてます。

と関連性を紐つけて考えても、過去は変えられないし性格も変えられない。

ただ、自覚を持って考え続けることはできる。

ナイーブな出来事も、意味のある今につながり、作品や展覧会のネタにもなる。

情けなくも露悪的だけど、逞しく、自覚することが一番の薬として、今日も銭湯に入りビールを開けた。

2021年5月19日 二艘木洋行

現代美術作家・二艘木洋行の個展「ボーイ・ミーツ・発達障害・それぞれの」、クリエイティブスペース「JITSUZAISEI」にて開催。

二艘木洋行展 「ボーイ・ミーツ・発達障害・それぞれの」

会期:2021年6月1日(火)〜30日(水)

会場:JITSUZAISEI(大阪某所)
※JITSUZAISEIの住所は2021年7月まで非公開。クラウドファンディング支援者と作品購入者のみに住所を案内しているが、「本展Webページ( https://www.jitsuzaisei.com/nisougihiroyukiexhibition )をよく探せば、もしかすると知ることができるかもしれません。」(主催者)とのこと。

時間:14:00~19:00、バータイム 19:00〜22:00

休廊:火曜日[6月1日(火)はオープン]

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