映像と彫刻を組み合わせた「ヴィデオ彫刻」で知られ、ヴィデオ・アートの先駆者の一人として国際的に活躍した久保田成子(1937-2015)の、没後初、日本では約30年ぶりの大規模な個展「Viva Video! 久保田成子展」が、中之島の国立国際美術館にて開催される。
久保田は新潟県生まれ。彫刻家を志して東京教育大学(現・筑波大学)で学び、卒業後は東京の前衛美術のコミュニティに参加した。しかし女性アーティストの活躍の場が限られていることに失望した久保田は、 ニューヨークへの移住を決意。渡米した1964年以降、前衛芸術家集団「フルクサス」やニューヨークを拠点とする国際的なアーティストたちと交流しながら作品を制作するようになる。
1970年代に入ると、生涯のパートナーとなるナムジュン・パイクとの共同生活から、 ヴィデオを使った作品の制作に着手。またマルセル・デュシャンとの偶然の出会いから、久保田の代名詞となるヴィデオ彫刻の傑作「デュシャンピアナ」シリーズを生み出した。
《デュシャンピアナ:自転車の車輪1、2、3》と《三つの山》の展示風景(原美術館、1992年) 撮影:内田芳孝 Courtesy of Shigeko Kubota Video Art Foundation; © Estate of Shigeko Kubota ※無断転載禁止 《デュシャンピアナ:階段を降りる裸体》1975‒1976 /1983年 富山県美術館蔵 (新潟県立近代美術館での展示風景、2021年)撮影:吉原悠博 © Estate of Shigeko Kubota ※無断転載禁止
1980年頃から制作された作品では、水やモーター、プロジェクションによる動きといった要素を取り入れ、ヴィデオ彫刻が空間的にも時間的にも拡張していく。
《河》1981年 Photo by Peter Moore Courtesy of Shigeko Kubota Video Art Foundation; © Estate of Shigeko Kubota ※無断転載禁止 《ナイアガラの滝》1985/2021年 久保田成子ヴィデオ・アート財団蔵 (新潟県立近代美術館での展示風景、2021年)撮影:吉原悠博 © Estate of Shigeko Kubota ※無断転載禁止
ニューヨークの久保田成子ヴィデオ・アート財団の全面的協力を得て開催される本展では、代表作「デュシャンピアナ」シリーズをはじめ、ヴィデオ彫刻、映像作品、それらのためのスケッチやアーカイヴ資料などを中心に、 国内美術館の所蔵品や作家の遺族からの借用品を含め、初公開資料を多数展示。最新研究に基づき、久保田の新たな作家像を提示する。

会期:2021年6月29日(火)~9月23日(木・祝)
会場:国立国際美術館
時間:10:00~17:00(金・土曜は~20:00) *入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、8月9日(月)、9月20日(月・祝)は開館し、8月10日(火)は休館)
観覧料:一般1,200円(1,000円)、大学生700円(600円) *( )内は20名以上の団体および割引料金
*高校生以下・18歳未満無料(要証明)・心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
*夜間開館中(金・土曜の17:00以降)は割引料金
*本展と「鷹野隆大 毎日写真1999-2021」(同時開催)の観覧券を窓口で同時購入の場合に限り、両展とも各割引料金で観覧可能(一般のみ)問合:06-6447-4680
大阪市北区中之島4-2-55