新型コロナウイルスの影響により、全国の劇場が休館や観客の動員減により窮地に立たされ、また観客は安全のため劇場に足を運ぶことができず、今後、配給会社や製作者も興行・発表の機会を失いかねない。そんな危機的状況下にある「映画の経済」を回復させようと、合同会社東風と映画監督の想田和弘がインターネット上に「仮設の映画館」を立ち上げた。
「仮設の映画館」には賛同する全国の劇場が軒を連ね、観客はその中から館を選び配信上映される作品を鑑賞することができる。料金は通常の興行収入と同様に、劇場と配給会社、製作者へと分配される。
2020年4月25日(土)から配信を開始した島田隆一監督作『春を告げる町』を皮切りに、5月からは想田監督の新作『精神0』や坪田義史監督の『だってしょうがないじゃない』などが順次公開となる。大阪では第七藝術劇場、シネ・ヌーヴォが参加。
これは、新型コロナウイルスの脅威によって停滞している「映画の経済」を回復させるための試みの一つです。そして、この認識と方法とを全国の劇場、配給会社、製作者、そして映画ファンのみなさんと広く共有することによってはじめて「仮設の映画館」は有効かつ持続可能な施策となり、ともにこの状況を乗り切ることができるのではないか。そのように考えています。
さてまずは最寄りの劇場へ。そして、たまには懐かしい街の劇場を訪ねてみてください。もちろん状況が改善したら、ぜひ「本物の映画館」に足をお運びください。ここはあくまで「仮設の映画館」です。
(「観客が映画館に足を運べない状況に対して」合同会社東風/「仮設の映画館」公式Webサイトより抜粋)
コロナ禍が収束したあかつきには、本物の劇場で『精神0』を改めて公開することを目指しています。そのときはぜひ、“仮設の映画館”でご覧いただいた皆さんも、お近くの劇場に足をお運びいただきたい。そしてオンラインで観るのとは全く別の経験をして、改めて「映画館っていいもんだなあ」と、実感していただきたい。感染リスクを気にすることなく、トークイベントなども思い切りふんだんに実施したいと考えています。やはり人間には「集う」ことが必要なのだと、集うことが自由にできなくなった今、切実に感じています。
コロナ禍が終わり、皆さんと実際に安心してお会いできる日が来ることを、楽しみにしております。みんなで一緒に乗り切っていきましょう!(「映画がコロナ禍を生き延びるために 『精神0』を“仮設の映画館”で公開します 座して死を待つよりは」想田和弘/「仮設の映画館」公式Webサイトより抜粋)
期間:2020年4月25日(土)〜
公式Webサイト:http://www.temporary-cinema.jp
上映作品:
※5月14日(木)現在
4月25日(土)〜
『春を告げる町』5月2日(土)〜
『精神0』『巡礼の約束』『タレンタイム〜優しい歌〜』『グリーン・ライ〜エコの嘘〜』『どこへ出しても恥かしい人』『だってしょうがないじゃない』5月8日(金)〜
『島にて』5月12日(火)〜
『タゴール・ソングス』5月16日(土)〜
『プリズン・サークル』6月6日(土)〜
『タッチ・ミー・ノット〜ローラと秘密のカウンセリング〜』