韓国へ出張に行った
ソウルに小ぶりだが、かなり実験的な作品を扱うフェスティバルがあり、2、3泊で観てきた。そもそもソウル自体が久しぶりで、覚えていたよりも随分と雰囲気が変わっていたように思う。韓国はモダンダンスが主流のダンスコミュニティが大学などを中心に形成されているので、ゴンゾは美術展以外は呼ばれない(と勝手に解釈している)。ソウルでは、次の世代が何かしら新しいことをやってやろうという機運を感じた。フェスティバル会場でも若い世代がリラックスして作品を見ているような印象があり、見たことのないようなものを自分なりに咀嚼しようとしているようなわくわくした感じも受けた。自分が住んでいる土地だと、いろいろな景色を見慣れすぎて見えなくなっているのだろうか。と言っても、僕は大阪に住んでいるので、東京はもっとソウルっぽいのかもしれない?などと考えつつ、日本のある種、生真面目なアートシーンを思い出していた。おいしいサムゲタンを食って帰国した。
グラフィティ
最近大阪でよく見かける、めちゃくちゃかわいい女の子のグラフィティがとてもキュートネスなので紹介したい。僕の8歳の娘もファンで大きなものやバージョン違いを見つけるとうれしくなる。
正しいと面白いの分岐
正しいアートと面白いアートがせめぎあっている。
さらに言うと、正しいが目的化しかねない状況に私たちはいる。
また「正解」は少し勉強すればだれにでもできることでもある。
以前、ある国の若いアーティストの作品プランの審査に関わったことがあったが、30件ほどの内、環境問題か、ジェンダー問題か、先住民やコミュニティのことかが9割くらいを占めており面食らった。テーマが3ジャンルくらいしかない。
アワード
たぶん大阪に必要なのは、ちゃんと賞金のついた文化賞、アワードである。行政が予算をカットしまくる過程で賞金がなくなった文化賞をもらったことがあるが、会う関係者全員に「賞金のなくなったやつやろ」と言われ続けて、尋常じゃないイメージダウンを実感したが、アート界隈が選挙に影響を与えるはずがないと思われているだけだろう。実際そうだった。もう個人やプライベートでやるしかないが、それをやったらやったで町人が支えてきた大阪の文化などという言説に回収されそうでめんどくさいのである。ともあれ、次の世代がわざわざ大阪で活動するメリットはどこにあるのか考えなければならない。
無題
ゴンゾで、六甲山でも登るかということで阪急芦屋川駅に集合すると、メンバーの三ヶ尻くんが蛍光のタイダイのTシャツと蛍光の黄色の小型のナップサックで来ており、目がたいそうチカチカした。どういう風に準備をするとこうなるのか僕にはあまりわからなかったが、結局山を登りながら《アイラブ・ゴアトランス》という映像作品を急遽つくることになり、ひたすら山道をきょろきょろしながらゴアトランスのフェスの会場を探しながら歩くという設定の三ヶ尻おじさんを撮影することになった。雨が降り、道に迷い、三ヶ尻君はナップサックがとても小さいために食事も非常に少なく、びしょびしょにぬれていた。なんとも微妙な作品に仕上がってしまい、一体いつどうやってこれを発表すればいいのかわからないまま手元にあるができたことはできた。
キュートネスの行方
国立国際美術館のコレクションに、キュートネスの原型みたいな作品がある。いつも、床におかれてギャラリーの壁にもたせ掛けてある作品で、木の板に、筆にのった絵具のテストを均等にちょんちょんしたかのようなふざけた作品である。定期的に出ているので好きな人がいるのかもしれない。
おそらくある種のコンセプチュアルアートの系譜にある作品だと思うのだが、意味の無化のさせ方が軽やかで他の作品と一線を画す。なによりもこのおふざけ観と佇まいが完璧にキュートでまるで人格が見えてきそうなくらいである。ごりごりに言説を積み上げて社会化させるまでもなく人々に何かしら影響を与えることは可能なのだと思い出させてくれる。
INSIGHT:キュートネスの行方(或いはダメージの少ない歩き方について)
概要
キュートネスについて
アートは一部の人しか見ないのか
宇宙に運ぶアート
都市の所作
地球滅亡後のアートの扱い
NAZEのキュートちゃん
うれしい
無題
ベルギーへ出張に行った
無題
無題
文化と都市のあり方について
その4 4/14公開
韓国へ出張に行った
グラフィティ
正しいと面白いの分岐
アワード
無題
キュートネスの行方
塚原悠也 / Yuya Tsukahara
1979年京都市生まれ、大阪市在住。2002年にNPO DANCEBOXのボランティアスタッフとして参加した後、2006年パフォーマンス集団contact Gonzoの活動を開始。殴り合いのようにも、ある種のダンスのようにも見える、既存の概念を無視したかのような即興的なパフォーマンス作品を多数制作。またその経験をもとにさまざまな形態のインスタレーション作品や、雑誌の編集発行、ケータリングなどもチームで行う。2011〜2017年、セゾン文化財団のフェロー助成アーティスト。近年は小説の執筆を自身で進めている。