2023年11月、大阪・此花区のギャラリー・the three konohanaの開廊10周年記念展「PRE KONOHANA MUSEUM」が開催された。同区を拠点とする建築ユニット・NO ARCHITECTSとthe three konohanaの共同企画となる。
展示空間のなかで目に飛び込んでくるのは、行った覚えのある少し懐かしい展覧会のDMや、知ったアーティストの名前が並ぶ手書きチラシなど。その膨大な資料一つひとつを眺め、字面やデザインの奥にある現場の雰囲気を想像し、当時の感覚を呼び起こしていく。
2010年代、中学・高校と通うなか、此花のまちを間近で見てきた写真家・中尾微々とともに、この仮設のミュージアムと此花を歩き、フォトレポートとしてまとめた。
「PRE KONOHANA MUSEUM(プレ・コノハナ・ミュージアム)」は、大阪市此花区梅香・四貫島エリアを拠点に、まちとアートの関係が継続的に育まれてきた約15年間の活動の蓄積を可視化し、その変遷をたどる機会を創出することを目的とした展覧会です。
当エリアは、2007年に地元の不動産会社が主導して、アートを活用したまちづくりの取り組みが始まりました。以降現在に至るまで、随時出入りがありながらも、延べ数百人規模の人々が自らの活動をおこなう中で、大小様々なユニークなイベントが開かれています。また、毎年のように開かれた活動拠点が立ち上がる一方で閉鎖するところもあり、当エリアの動きは常に変化がありながらも持続しています。
本展では、NO ARCHITECTSが長年収集してきた、当エリアで開催された多数のイベントや展覧会の広報物を中心に、関連する各種資料を、10年前に自ら設計を担当したthe three konohanaのギャラリー空間に、仮設の「まちのミュージアム」を想定した空間を構築して展示します。
仮設のミュージアムを歩く
此花のまちを歩く
これまで当エリアは、独特のまちとアートの関係とその成熟の過程が注目を集め、様々な視点から多数の学術論文や各種メディアの取材記事などで言及されてきましたが、近年は周辺を取り巻く状況からその認識に隔たりを感じることも度々起きています。本展を通じて、当エリアの特徴や個性、そして15年もの歳月をかけて紡がれてきた、この「まち」の文脈を、地域内外の方々と共に改めて捉え直す機会になれば幸いです。
the three konohana 開廊10周年記念展 Vol.3
会期:2023年11月3日(金・祝)~26日(日)
会場:the three konohana
企画:NO ARCHITECTS、the three konohana