本特集では、ドキュメンタリーとフィクションの関係やその境界について向き合いました。それは、「事実」「作為」「理解」というような言葉の定義や、それらに付随する葛藤の輪郭をなぞっていくような作業であり、あらためてドキュメンタリーとフィクションの境界というものがいかに流動的で、相互的関係にあるかを感じています。人が食べるという行為をインタビューを通して観察・分析してきた独立人類学者の磯野真穂さんとの対談では、他者を理解することについて言葉を交わしました。また、現代フランス哲学、芸術学、映像論をフィールドに文筆業を行う福尾匠さん、同じく、映画や文芸を中心とした評論・文筆活動を行う五所純子さん、そして、劇団「ゆうめい」を主宰し、自身の体験を二次創作的に作品化する脚本&演出家・池田亮さんの寄稿では、立場の異なる三者の視点からドキュメンタリーとフィクションの地平の先になにを見るのかを言葉にしていただきました。対岸の風景を可視化していくこと、まだ見ぬ世界を知覚すること、その先に結ばれた像が唯一絶対の真実から開放してくれることを信じて。そして、今日もわたしは石をなぞる。小田香 Kaori Oda ー 1987年大阪生まれ。フィルムメーカー。2016年、タル・ベーラが陣頭指揮するfilm.factoryを修了。第一長編作『鉱 ARAGANE』が山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門にて特別賞受賞。2019年、『セノーテ』がロッテルダム国際映画祭などを巡回。2020年、第1回大島渚賞受賞。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
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2021.11.07
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REPORT|
ステーショナリーブランド「ANTORA」リリース

文: 田原 奈央子[プレス・企画・PM]
REPORT|ステーショナリーブランド「ANTORA」リリース

“体に馴染む、必然性”をテーマとしたステーショナリーブランド「ANTORA」が誕生。2021年9月4日(土)、初のプロダクトとなるノートブックをリリースし、オンラインショップでの販売をスタートした。デザイナー・アートディレクターとして活躍しているmémの前田健治氏が手がけるオリジナルブランドだ。

ANTORAは、鹿の枝角“antler”から派生した造語です。
何故備わっているのかわからないが、必然的に備わったもの、そして進化したもの。
“体に馴染む、必然性”をテーマにプロダクトを創造します。
我々のプロダクトは、実用的であり美しいデザイン、そして体に馴染むものとして設計しています。ANTORA Webより)

「自分がほしいノートが無いなら自分で作ろう」という想いをきっかけにスタートし、試行錯誤を繰り返しながら、約2年ほどの歳月を経て製品化にたどり着いたというANTORA。今回リリースとなったのは大きく分けて2種類のノートである。ひとつはノートを閉じたり、ペンを挿すことのできる革のストラップがアクセントとなっている「Hardcover Notebook」、そしてさまざまなカラー展開が特徴的な「Linen Notebook」。いずれもリネンクロスが施されており、触り心地がよく手に馴染む。

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Hardcover Notebook
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Linen Notebook

私はLinen NotebookのNatural White・Brown・ Light Grayの3色を購入。Natural Whiteはラフさと柔らかさが、Brown・ Light Grayはつるっとした光沢が感じられる。箔押しされたロゴも上品で、見ていると、使うのがもったいない気持ちにすらなってしまうような美しいノートだ。紙質も滑らかでありながら、ペン先が歪まずに程よく留まるので、とても書きやすい。

REPORT|ステーショナリーブランド「ANTORA」リリース
REPORT|ステーショナリーブランド「ANTORA」リリース

Linen Notebookはシンプルな中綴じ製本、一方のHardcover Notebookは糸がかり上製本となっている。高級な書籍などで採用されるこの製本方法により、ページを綴じ部分まで大きく開くことができ、強度と優れた使用感が生まれるのだという。またHardcover Notebookには、仕様上「チリ」と呼ばれるカバーと中面との段差が発生する。スタンダードな製本だと、およそ3mmのチリが生まれるのだか、より手に馴染むよう、極力差が出ないよう職人と相談。製本時にできる個体差との兼ね合いも考慮しながら、ミリ単位で調整しているそうだ。

REPORT|ステーショナリーブランド「ANTORA」リリース
REPORT|ステーショナリーブランド「ANTORA」リリース

前田氏のデザインには、知的な佇まいやかわいらしさはもちろん、それ以上にそのもの自体がもつ本質的な美しさが表れている。ANTORAにも、随所にそんな前田氏の思想が散りばめられているように思う。

試行錯誤する中でひとつ辿り着いたのは、「ノートは単なる消耗品ではなく永続的に残すべきもの」ということです。自らの痕跡を残すように、使い手の筆跡や思考さえも綴じ込め、残ってゆくものと捉えています。
それは記憶媒体に閉じ込められたデジタルデータとは全く性質が違うものです。
ANTORA Webサイトより)

そういえば、自分が最近ノートを書いていないことに気づく。もともとは「書く」ことも「描く」ことも好きなのでよく使っていたが、すっかりデジタルに移行してしまった。

前田氏の言うように、書かれた文字にはその人の気配を感じる。幼い頃に母が私の持ち物に書いてくれた文字を見ると、母を感じて嬉しかった記憶があり、今も自分の子どものものには、スタンプなど使わずに手で書くようにしている。デジタルは、容易に情報を残すことができ、修正もきく。誰かと簡単に共有することもできるが、そういったパーソナルな部分を強く表すツールではないかもしれない。

前田氏は、自分の身に起こった経験からこう語る。「これまでに行ってきたこと、これから行うことにどんな意味があるのか、なにか残せる(遺せる)ものがあるだろうかと考えたんです。ほしいノートをつくることが出発点でしたが、そのプロセスのなかで本当に大切なものについて熟考し、視野がひらけていきました。個人的な想いも乗せたプロダクトではありますが、体に馴染み、使い続けていただけるようなものを、これからもつくっていきたいと思います」

残す(遺す)ことは、たとえ自身の存在がなくなったとしても、自分の意志を未来につなぐことのできる行為だ。私自身の子と同い年のお子さんをもつ前田氏の言葉には、とても共感を覚えた。ANTORAのプロダクトは、日常に使うものでありながら、大切にしたい、残していきたいという気持ちを自然と生じさせる。ここになにを書き留めようかと、届いてすぐにいろいろと考えを巡らせてみたが、やりたいことがありすぎて、まずは自由に想いを綴ってみようと思う。そして、私が子どもに残せるもの、残したいもの(遺せるもの、遺したいもの)とはなんなのだろうと、このノートを使いながら考えてみたい。

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ANTORA

Hardcover Notebook+Leather straps
サイズ:W140×H210mm
カラー:Natural、Charcaol
ページ:160ページ
価格:3,850円

Hardcover Notebook
サイズ:W140×H210mm
カラー:Natural、Charcaol
ページ:160ページ
価格:3,520円

Linen Notebook
サイズ:W150×H220mm
カラー:Natural White、Brown、Light Gray、Navy Blue
価格:2,750円

Web:https://antora-shop.com
Instagram:https://www.instagram.com/antora.official/

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