大阪を拠点に活動するジュエリーレーベル「ATAKA」のスタジオとショールームが、2021年8月21日(土)に玉造から桃谷へ移転、リニューアルオープンした。設計は谷口かおり氏が手がけている。
ATAKAは、2019年に安宅洋輝が立ち上げたジュエリーレーベル。金属の調合を独自で行い、素材からオリジナルで制作するブライダルリングや、ジュエリーを思考を身に付け、表現出来るプロダクトのひとつとして捉え、問いを持つことを大切にした活動を行っている。
移転先はローカルな住宅街のなかにある。地元の人々が行き交う道を進むと、突然現れるモダンな佇まいの空間。大きなショーウィンドウから覗く店内にジュエリーの姿はなく、目に飛び込むのは整然と並んだアート作品やプロダクトだ。まるで美術館のような雰囲気が感じられる。
照明の色や壁面の塗装、床材の空間の細部に至るまで、ニュートラルな感覚で選定された空間。程よい緊張感を保ちながらも心が落ち着いていく。店内は手前からギャラリー、ショップ・ショールームスペースと続き、一番奥がスタジオとなっている。ジュエリーの制作はそのスタジオで行われるのだという。
ギャラリーから望むショーウィンドウは、日常のワンシーンを切り出したかのような構図になっており、通り過ぎる人々の姿も空間に溶け込んで見える。店内の照明と自然光とのコントラストからなのか、行き交うひとたちが柔らかな空気をまとっているような、なんでもない暮らしの風景が健やかに見えるのも不思議だ。
ショップ・ショールームスペースへ進む。ガラスのショーケースには2021年発表の新作が展示され(オープン時のみ)、アルミでできた什器にはこれまでの作品が収められている。「ジュエリー」と聞いて想像する華やかさとは異なるソリッドな空間に並ぶATAKAのジュエリーは、身につけるというシーンに留まらず、プロダクトとしての存在感を強く放つ。
ATAKAの特徴とも言える調合された金属の色やデザイン、構造など、ここで見るジュエリーは、店内に並ぶアート作品やプロダクトたちと同じようにフラットな目線で楽しむことができ、自分のなかの感性が拓くように感じる。
「美術館のように、訪れた人が作品に集中できるような空間を意識しています。店頭には、時代や国籍を問わずさまざまなデザイナーが手がけたプロダクトやアート作品を並べました。日本にはいまだに国公立デザインミュージアムがないので、小さくですが、そんな役割を担えたらいいなと思っています」と安宅氏は話す。
安宅氏が考えているのは、単なるレーベルのためのショップではなく、改めてデザインの価値をとらえ直すような場なのかもしれない。オープン後、少しずつ店頭のディスプレイも変わっており、今後は彼が興味をもつデザイナーやアーティストの展覧会も予定しているそうだ。
ATAKA
営業時間:12:00〜19:00
※全曜日 完全予約制
問合:070-8937-2367
info@ataka-jp.com
大阪市生野区勝山南3−8−27