大阪・玉造の美容室「ARUBEKKI HAIR」の設計、琵琶湖で採れる葦でバーをつくる学生向けワークショップの実施など、関西を中心に活躍するインテリアデザイナー・建築家の松本直也さん。

そんな松本さんが最近手がけたのは、2020年1月にオープンした野田阪神のワインと一品料理のお店「Tyrni」。ソムリエの女性店主がひとりで切り盛りし、厳選したワインと一品料理をカウンターごしに提供する情景から「令和のスナック」をコンセプトにデザイン設計しているのだそう。

松本さんに、設計の裏話をお伺いしてみました。

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ーー壁面のコルクに目を奪われますね。これはどんな意図で取り付けているのでしょうか？

これは、店名になっている、「Tyrni（トゥルニ）」というフィンランドの海岸地帯で自生する、グミ科の果実をイメージしたオブジェです。関係者みんなで取り付けたんですよ。このお店が、施主さんにとってはじめての自分のお店なので、「店主自身が愛せるお店」になってもらえるようにという想いを込めています。訪れたお客様との話の「ネタ」になってもらえるといいですね。

ーー設計する上で、どんなところを大切にされていましたか？

予算内でなんとか店主の想いに答えたい！と思い、こだわりのある部分はコストを抑えつつ小技を効かせて表現しました。

たとえば、壁面に使用しているラワンベニヤは3×6サイズで貼るのではなく、6種類の寸法に裂いてからランダムに貼りつけて表情をつくっています。ほかにも、カウンターの無垢材は、ホームセンターでも購入できる24mmの無垢の杉の集成材を使い、先端だけ厚みをもたせることで存在感を感じさせるなど工夫しています。

ーー来店したら、ぜひここを見てほしいと思うこだわりポイントを教えてください。

カジュアルなお店（令和のスナックなので！）なのに、奥にカウンターがあるというのは、お客さまからすると敷居が高くなりすぎないだろうか……と躊躇していたときもありました。でも結果的には、意図したとおりの落ち着きがあり、店主の人柄のよさもしっかりと感じられる空間になったのではないかと思います。居心地の良い場所になっているので、ぜひ足を運んで体験してみてください！