自分の住むまちでちんどん屋を見たことはあるだろうか。ちんどん屋はお店の新規オープン、催しもの、祝いごとなどの、さまざまな出来事をまちの人々に伝える役割を担ってきたが、まちに根ざした宣伝の多くがWeb上に移行しつつある現代において、姿を見かけることは少なくなってしまったかもしれない。
大阪・空堀商店街を拠点とするちんどん通信社は、1984年に旗揚げされ、現在も活動するちんどん屋である。近年、誰かに宣伝を依頼された街頭でのパフォーマンスだけではなく、次世代にちんどん芸を伝えるため、舞台上での公演なども行っている。
そのちんどん通信社に魅せられ、取材を続けて20年になるケント・ダールの写真展が、中崎町のギャラリー、イロリムラで開催される。ケント・ダールはデンマーク出身のジャーナリスト。本展では、ちんどん通信社の写真以外にも、アジアやヨーロッパで出会った路上芸人たちの写真も展示される。世界各地で見られる大道芸には、その口上、歌、楽器の演奏などに、ちんどんと類似する点も多くあるだろうし、相違も多くあるだろう。ちんどん通信社に密着した映像作品『東西~! 東西~!』のダイジェストも今回上映される予定だ。
また、本展の宣伝として、9月2日(木)、5日(日)にギャラリー周辺でちんどん通信社のまち回りがあるほか、11日(土)には、ケント・ダールとちんどん通信社の林幸治郎によるトークイベント(事前申込制、オンライン配信あり)とちんどん演奏も行われる。
「ちんどん屋さん」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
ちんどん屋は、ちんどん通信社が自らの活動を「街角宣伝音楽隊」と称しているように、音楽やパフォーマンスを活用して、様々な宣伝を行います。
街回りの宣伝では、歩きながら、その場、その時にあわせて、人の耳や目を惹きつつも決して生活を妨げない、絶妙なバランスで演奏しつつ広告宣伝を行っています。現在、その活動の範囲は多種多様に広がっており、街回りの宣伝だけでなく、お祭りや会合、舞台への出演、学校イベントなど様々あり、常に柔軟かつ臨機応変に対応されています。
このようなジャンルレスの活動において、ちんどん通信社は、宣伝や舞台の提供だけではなく、人と人、街と音楽、記憶と偶然など色々な出会いを演出しているといえます。デンマーク出身のジャーナリスト、写真家、映像作家で、日本に約40住み続けている、ケント・ダールさんはちんどん通信社に魅せられ、取材を続けておよそ20年になります。
またケントさんは、アジアやヨーロッパで様々な路上芸人とも出会ってきており、ちんどん屋との関連性を考えるようになりました。この写真展では、ケントさんの視点が捉えたちんどん屋や様々な芸人を、写真を通して運命の赤い糸でつなぎます。
その赤い糸はおそらくみなさまの元へもつながっていることでしょう。
会期:2021年9月1日(水)~13日(月)
会場:イロリムラ
時間:12:00~20:00(月曜は18:00まで)
定休日:火曜
料金:入場無料
問合:tyamazaki@let.osaka-u.ac.jp(山﨑達哉)
主催:大阪大学大学院文学研究科
関連トークイベント
出演:ケント・ダール、林幸治郎、ちんどん通信社
日時:2021年9月11日(土)14:00~
※事前申込制、オンライン配信あり
イロリムラ
大阪市北区中崎1丁目4番15号