1980年代に大阪の建築専門書店・柳々堂が実施した勉強会(同人誌出版)にルーツを持つ「アーキフォーラム」。建築に関する講演会の少ない関西で議論の輪を広げていくことを目的とし、1997年より関西の若い世代の建築家によるダイアローグが始まった。
2000年以降はテーマを設定した連続レクチャーとして毎年開催されていたものの、2014年以降は開催が途絶えていたが、コロナ禍を経て2022年に再始動が決定。今という時代に相応しいあり方を模索しつつ、関西圏における建築関係者の議論の場をつくり、関西発の新しい建築論の展開を目指すという。
2022年度のコーディネーターは、荒木美香(構造家)、川勝真一(建築リサーチャー)、橋本健史(建築家)、吉岡優一(コンストラクション・マネージャー)の4名。年間テーマを「回復の時代」とし、2022年6月からさまざまな建築関係者をゲストに招いて議論の場を開く。今年度は全6回の開催を予定。
テーマ「回復の時代」に向けて
新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、それまでの社会や日常、コミュニケーションのあり方に大きな変更を強いるものでした。対面でのコミュニケーションが制限され、オンライン上での交流やアクセスの可能性が飛躍的に高まったことで、場所に囚われない働き方や学び方は居住地の選択肢を広げ、これまでにない出会いや機会を提供しました。その一方、地理的には近しい人々との関係性を育む機会は減り、地域内での議論や取り組みを発生させる場が失われてきました。ポスト・コロナに向けた動きの中で、綻んでしまった地域内の交流や議論をいかに回復することができるか。建築系の学部や学科の新設や、近年に関西を拠点として設計活動を始めた方など、関西内の新たな動向も踏まえたネットワークの回復、再構築が必要だと考えています。
このように回復は、まず持ってコロナ禍からの回復であり、さらにはこの数十年間日本社会に起こっているネガティブな変化に対して、これから先の未来にポジティブな状況をつくっていくためのアクションです。もちろん、それらは状況論や受動的な立場にとどまるものではなく、現在の建築そのものを考えるための補助線として、さまざまな可能性を持っています。
悪い部分を取り除く、弱い部分を補う、途切れていたものをつなぎ直す、忘れていたものを思い出す、硬直していたものを解きほぐす、できなかったことができるようになる。完全に治ったことを意味する快復ではなく、全く元通りになる再生や、衰えたものが以前の勢いを取り戻す復興とも異なる、どうにか良い方向に進んでいく、その過程(プロセス)として回復を捉えること。回復のための方法論はまだ確立されておらず、これまでの建築をめぐる取り組みの延長線上にありながら、しかしこれまでとは別の、さまざまな試行錯誤があるはずです。
アーキフォーラムという関西の建築を語る上では欠かせない議論の場の回復(カムバック)をぜひ皆さんと共に迎え、回復の時代における建築について考えていきましょう。
(コーディネーター一同)
(Webサイトより)
第1回「生産の回復」
日時:2022年6月18日(土) 14:00〜17:00
ゲスト:西村周治(西村組)、野崎将太(々)、吉永規夫(Office for Environment Architecture)
申込:https://archiforum2022.peatix.com/第2回「風景の回復」
日時:2022年7月9日(土) 14:00〜17:00
ゲスト:周防貴之(SUO)、新森雄大(Niimori Jamison Architects)、服部大祐(Schenk Hattori)
申込:https://archiforum2022-2.peatix.com第3回「公共性の回復」
日時:2022年8月6日(土) 14:00〜17:00
ゲスト:岩瀬諒子(建築家・京都大学助教)、金野千恵(teco株式会社/京都工芸繊維大学 特任准教授)、西倉美祝(MACAP)
申込:https://archiforum2022-3.peatix.com[第1〜3回共通]
会場:上町荘参加費: 1,000円
定員:現地参加は各回 30人、別途オンライン参加も可能
問合:アーキフォーラム実行委員会 archiforumosaka@gmail.com
大阪市中央区上本町西4-1-68