豊中市立文化芸術センターの現代アート事業「とよなかアーツプロジェクト」は、2022年よりリサーチ企画を始動。初回の協働作家として、大阪府出身の映画監督・小田香を選出し、ともに地域リサーチを通じた作品制作に取り組んできた。そして、その成果となる新作短編映画が、2023年1月27日(金)、「豊中と─沖縄─ 地下と土地(Underground)の歴史、そこに住まう人々の営み・痕跡」と題した上映会にて披露される。
小田はこれまで、ボスニアの炭鉱と労働者の姿をとらえた『鉱 ARAGANE』(2015年)や、メキシコ・ユカタン半島に点在する泉と人々とのつながりを見つめた『セノーテ』(2019年)などを発表。地下空間に目を向け、土地やそこに生きる人々への取材を重ねながら映画作品を生みだしてきた。「(作品に結びつかないかもしれない)地域特有の事柄・記録を調べ、咀嚼するリサーチを、公開される作品と同様に、不可欠で重要なもの」ととらえる本企画でも、豊中を起点に、資料調査やヒアリング、フィールドワークを行う制作プロセスを展開している。
そして、その歩みは豊中と戦後から交流をもつ沖縄へと延びる。1964年、コザ市(現・沖縄市)から豊中に住む沖縄戦戦没者の遺族へ、霊石と仏桑華(ハイビスカス)が届けられたことから両市の交流ははじまったという。小田は今回、沖縄に数多あるガマ(自然洞窟)をはじめとする特有の自然と、さまざまな背景をもって土地に暮らす人々の営為に着目。古来から長い時間を経るなかで変化した生態系や風景、戦争の歴史といった「痕跡」から、悠久の時間をも想像させる映画作品を立ち上げる。
なお、上映後には小田と、今作にも出演する映画作家/振付家/ダンサーの吉開菜央、プロデューサーの杉原永純によるアフタートークも行われる。リサーチや制作の背景に耳を傾けながら、じっくりと作品に向き合いたい。
とよなかアーツプロジェクト2022 リサーチ企画 新作上映会
豊中と—沖縄— 地下(Underground)と土地の歴史、そこに住まう人々の営み・痕跡日時:2023年1月27日(金) 18:30開場、19:00開演
会場:豊中市立文化芸術センター小ホール
料金:無料
※定員200名、先着順問合:06-6864-5000(豊中市立文化芸術センターチケットオフィス/10:00~19:00 月曜休館)
主催:豊中市市民ホール等指定管理者、豊中市
監督・編集・サウンドデザイン:小田香
出演:吉開菜央、松永光雄 ほか
協力:田中逸郎(元・豊中市副市長)、特定非営利活動法人沖縄鍾乳洞協会、山内平三郎、沖縄市アフタートーク登壇者:
小田香(フィルムメーカー/アーティスト)
吉開菜央(映画作家/振付家/ダンサー)
杉原永純(プロデューサー)