垣本泰美の新作〈Star Boy -洪水の夜-〉を展示致します。
古い家族アルバムに垣本の亡き父の写真を見たことをきっかけに、生前に父から聞いたエピソードから、写真と記憶の関係やメディア性を見つめ直したシリーズです。
妹を撮影する中に、過去の自分の記憶を見出したシリーズ〈巡り返しの記憶〉でデビューし少女達の理想の世界を描いた〈Little World〉、そして代表作〈繭の時間〉では、少女の記憶や夢から得た無意識下のイメージを描き出してきました。
スイスやスウェーデンのレジデンスに参加する中で、曖昧な記憶から新たな物語が構築されるプロセスに興味を持ち、現実と非現実の境界にある古い記憶や、世代を超えて語り継がれてきた伝承などを写真として再構築しました。
今回はより個人的な記憶を元に何が紡がれるのでしょうか。新たな展開をご期待下さい。–
アーティストステイトメント
Star Boy -洪水の夜-
古いアルバムの中で見つけた1枚の写真、学生服の父がレンズを凝視している。
一度だけ見たその写真のイメージが頭から離れない。かつてロラン・バルトは「写真のノエマ」を〈それは=かつて=あった〉であると語った。
古いアルバムから見つけたその写真は、その本質を雄弁に語っていたが100年経ってもそれは変わらないのだろうか。
もしかしたら写真を見た時に感じる〈それは=かつて=あった〉を信じることが可能なのは、それが事実として存在したかどうかではなく、記憶に基づいた新たな物語を展開し続けることにあるのではないのだろうか。
本作のシリーズ〈Star Boy〉は、父にまつわる記憶や写真、生前本人が語ったことや身近な人々によって語られた事柄の断片をつなぎ合わせて再構築したものである。
第一章となる「-洪水の夜-」は、実際に起こった大洪水の夜に彼が見たものを起点として、彼と彼の母にまつわるエピソードなどを交えて構成し、生と死や、記憶と物語の関係性を探ることを試みる。垣本泰美
–
垣本泰美|KAKIMOTO Hiromi
経歴
1976 大阪生まれ、京都在住
1997 日本写真映像専門学校 写真表現コース卒業
1999 成安造形大学造形学部デザイン科写真専攻 卒業個展
2021 「Merge Imago」The Third Gallery Aya、大阪
2019 「Holy Garden」SPACE PLACE 、ニジニ・タギル(ロシア)
2014 「Weaving a Memory」The Third Gallery Aya、大阪
2010 「繭の時間」The Third Gallery Aya、大阪
2005 「Little World」The Third Gallery Aya、大阪
2002 「Little World」日本写真映像専門学校ギャラリー308、大阪
2001 「Little World」The Third Gallery Aya、大阪
1999 「巡り返しの記録」The Third Gallery Aya、大阪(Webサイトより)
会期:2023年10月13日(金)〜11月4日(土)
会場:The Third Gallery Aya ※展覧会は4Fで開催
時間:水〜金曜 12:00〜19:00、土曜 12:00〜17:00、火曜はアポイント制(info@thethirdgalleryaya.comへ前日12:00までに要予約)
休廊:日・月曜
関連イベント
アーティストトーク
日時:10月21日(土)18:00〜19:30
会場:The Third Gallery Aya(5名)+YouTube配信 ※申込後に詳細をご案内
参加費:1,000円
※申込はこちらから同時期開催のグループ展
セイアンアーツアテンション 16 「Error of Reality」
アーティスト:今村遼佑、垣本泰美、虚構新聞社社主UK+成安造形大学在学生、谷平 博、平瀬ミキ
会期:10月13日(金)〜11月11日(土)
会場:成安造形大学【キャンパスが美術館】 (滋賀県大津市仰木の里東4-3-1)
時間:11:00〜17:00
休館:日・月・祝日
大阪市西区江戸堀1-8-24
若狭ビル2F, 4F