肥後橋のギャラリー・Yoshimi Artsが、アーティスト・山本志帆の4年ぶり4回目となる個展「山をくずして」を、12月6日(水)から開催する。
山本は、一貫して人と動植物の様々な関係性を探求してきました。長い地球の歴史の中で、種として生き残ってきた人と動植物について、類似性や関係性を生物学的な視点で考察し、環境の変化の中で適応し逞しく生きる残る為に常に形状を変えてきたにもかかわらず、尚美しい形を保っている、と山本は感じています。
例えば、植物は、人間がより合理的に暮らしていく為に作り出した人工的な建造物の壁に這い、コンクリートやアスファルトの間から芽を出し、自然とは違う環境の中でも人間と共生するかの如く生息しています。山本は、変わりゆく環境に適応する人間や植物の姿を、生物学的な視点、または過酷な社会に生息するという観点から、擬人的、比喩的にそれらを描いています。そのような意識を持ち取り組んでいく過程で、日本画において、現在は人工的な画材も多くあるものの、画材や道具の多くが動植物由来のものであることに気づきます。日本の風土から生まれた自然由来の素材を使用していて、江戸時代に「浅草紙」というリサイクルペーパーが存在したように、日本画で使用した紙も漉き直すことが出来、絵具も水で洗えば粒子状の岩絵具に戻り、再利用できる特性があることに着目することになります。素材に対する意識が高まり、素材を知るために、紙を作る産地・岐阜の美濃や広島の大竹、筆で有名な熊野町などの工房を見学し、奈良の古梅園では墨作りを体験しました。そして、素材への理解を深めることで、作品から素材へと「一度形作られたものが時を遡るように分解できる」という逆行の道を思考していきます。
本展では、2022年広島のgallery Gで行った個展を再構成します。自宅の裏手にある茶臼山からとった植物と土、山に住む動物の痕跡、人工物の隙間でも生きる植物などを画題として、素材としても用いた作品で構成します。また、「生産」「消費」「分解」といった3つの位置づけを「植物」「動物」「崩すもの」に対応させて意識し、各々その3つを行き来したりしながらバランスをとって生態系が成り立っていることを考えた展示を予定しています。
–
山本志帆 YAMAMOTO Shiho
1982 岐阜県に生まれる
2000 岐阜県加納高等学校美術科 卒業
2004 広島市立大学芸術学部日本画専攻 卒業
2008 広島市立大学大学院芸術学研究科絵画専攻修個展
2022 Gセレクション 山本志帆 個展 「山をくずして」 (gallery G/広島)
2019 「有機」 (Yoshimi Arts/大阪)
2015 「叢生」 (Yoshimi Arts/大阪)
2012 「産土」 (Yoshimi Arts/大阪)
2010 「心音」 (吉美画廊/大阪)
2009 「心音」 (大丸神戸店アートギャラリー/神戸)
会期:2023年12月6日(水)~12月24日(日)
会場:Yoshimi Arts
時間:12:00~19:00 ※日曜は~17:00
休廊:月曜、火曜
作家在廊予定日:12月6日(水)、24日(日)