谷町六丁目のギャラリー・+1artにて、美術家・今井祝雄の個展「ビデオテープガーデン」が開催される。
今井は1946年大阪市生まれ。大阪市立工芸高校在学中から吉原治良に師事し、具体美術協会に参加した。1960年代から造形や映像作品を制作・発表し続けている。
同ギャラリーでは2022年に、オープンリールの録音テープを使った作品を発表したが、今回素材とするのは、1980〜2000年頃に映像の一般的な記録手段であったビデオテープ。ギャラリーの床に、録画された大量のビデオテープが敷き詰められ、鑑賞者はその上に敷かれた透明板の上に立ち、作品を体感する。
会期中には、映像作家・林勇気を迎えて、「ビデオの時代」と題した対談も開催予定。 記録媒体の変容が私たちの日常や作家の作品制作にどのような影響を与えているのか、改めて考える機会となる。
私は往年のSPレコードを割って積み上げたり、リールから取り出したオープンリールの録音テープを球体状に巻き付けるなど、記録メディアを物質として扱った近作の延長で、このところ再びビデオテープを用い出した。
「再び」と書いたのは、DVDもSNSもまだないビデオ全盛の1980年前後に、撮影録画と同時にビデオテープを引っぱり出して被写体に絡めるパフォーマンスを行っていたからだが、しかし同じテープであっても、時を経た現在では素材としての認識は大きく異なるものである。
そんないま、録画された大量のビデオカセットをばらし、リールから解放したテープによるインスタレーションを試みている。もはや再生不可能となったおびただしいこれらのビデオテープは、某氏が若い一時期にテレビ放映された映画をエア・チェック=録画したもの。 いまや不要となったそれらには多くの人たちが見ただろうポピュラーな映画の数々と時間が収まっている。
(今井祝雄)
今井祝雄「ビデオテープガーデン」
会期:2024年2月14日(水)〜3月2日(土)
会場:+1art
時間:12:00~19:00 ※最終日は17:00まで
休廊:日〜火曜
対談「ビデオの時代」
日時:2月17日(土)17:00〜18:00
会場:+1art
出演:今井祝雄、林 勇気(映像作家)
参加費:500円(1ドリンク付)
定員:15名 ※要メール予約 gal@plus1art.jp
大阪市中央区谷町6-4-40