この度、Yoshimi Artsは、興梠優護の個展「Balm」を開催致します。
人間は絵を描くという身体行為を通し、言語では表せないものを表現してきましたし、何万年に及ぶ美術の歴史において、言語的には絡め取られない人間に潜む想像力は、様々なものを生み出してきました。想像から生み出されるものとは、常に人間が持つ心の意識されない深みから出現し、言語では説明がつかないものから発生しているのではないかと考えます。
興梠は大学で油画を専攻し、大学院では版画に取り組みました。その後、定期的に個展を行いながら、熊本、東京、大阪、ロンドン、ベルリン、スペインバスク地方、ブルガリアと、住む場所やアトリエを移動し制作しています。
これまで絵画においては、正面性から側面へ意識を広げ、側面に塗られた絵具の色が白い壁に反射して絵画が拡張する効果にまで発展させ、段階的に絵画制作の理論を絵画の境界線の外へ応用することに取り組んできました。
2022年に行った個展「Turbidity」(Yoshimi Arts)では、ギャラリー空間全体にその理論を応用し、絵画と同様の効果をギャラリーで表現しました。
また、2022年に開催された「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」(京都市京セラ美術館 新館東山キューブ)では、株式会社堀場製作所の計測の技術を用いて成分分析を行った数値や画像を、偏光顔料や光沢・マット処理をした絵具で描かれた絵画にプロジェクターを投影し、時間によって変化する作品を発表するなど、様々な企業と協働することで更なる絵画の拡張を試みています。
本展では、「香り」「嗅覚」をテーマに、新作の油彩画を中心に展示致します。メゾンレクシア株式会社との共同プロジェクトによる香水ボトルのラベルのイメージの為に制作した作品や、新たな試みとして、興梠自身がボトルの制作を行ったガラス作品も発表します。視覚だけでなく嗅覚にも語り掛ける展覧会となるでしょう。興梠優護 / KOHROGI Yugo
1982年 熊本県生まれ、2007年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、2009年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻版画研究領域修了。熊本、東京、ロンドン、ベルリン等アトリエを移動し制作。
近年の主な個展として、「X」 (成山画廊/東京、2023)、「Turbidity」(Yoshimi Arts、2022)。
近年の主なグループ展に「興梠優護・澁澤星 展」(瀬戸内市立美術館/岡山、2024)、「VOCA 展2023 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─”」(上野の森美術館/東京)、「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」(京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ/京都、2022)、「秀桜基金留学賞10 年、そして『今』展」(岡山県立美術館/岡山、2019)など。(プレスリリースより)
会期:2024年3月9日(土)〜30日(土)
会場:Yoshimi Arts
時間:12:00~19:00 ※日曜は~17:00
休廊:月・火曜、3月15日(金)〜17日(日)
大阪市西区江戸堀1-8-24
若狭ビル3F