株式会社ぬかが(代表:額賀古太郎)が運営する西天満のギャラリー・N projectにて、現代美術作家・みょうじなまえの個展「I’ll give you a name」が、5月25日より開催される。
みょうじなまえは1987年に兵庫県に生まれ、2019年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、同年に東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画に入学、2022年には同大学院を自主退学しました。幼少期からの自身の体験を契機として、女性の体、性、アイデンティティとその消費をめぐる問題を軸としたインスタレーション作品を中心に制作しています。
近年では小説や戯曲などの著名な文学作品を題材とし、物語における女性の存在を主体に置き換え再構築することで、実社会における女性性のあり方、消費のされ方を提起する作品を発表してきました。昨年SICF (スパイラル・ インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)23 Exhibition部門グランプリアーティスト展(東京)として発表された「バベルとユートピア」では、舞台装置を模した映像インスタレーションの中で、古代ローマの詩人・オウィディウスの叙事詩『変身物語』を背景に、人類の歴史上現在まで連綿と続く社会構造に内面化されたジェンダー意識をあざやかに切り出してみせました。
「I’ll give you a name」と題した本展では、名付ける行為が暗に指し示す“型にはめる”、“区別する”という意図をテーマとし、既存の社会構造によって人々が無意識のうちに植え付けられている”かくあるべき”というアイデンティティの矯正/強制の過程を、花をモチーフにしたインスタレーションによって可視化します。ジェンダーのみならず、セクシャリティ、世代といった我々の意識下に存在する多層構造的な社会的規範を、子供の玩具やぬいぐるみ、家具といった日常的なモチーフを用いて炙り出していく手法は作家が近年取り組んでいる表現であり、また社会の最小単位である家そのものが、檻のように個を取り巻き矯正していくひとつの装置であることを暗示しています。
みょうじは「バベルとユートピア」に寄せたテキストの中で「現実の世界を生きていく上で、およそ相互理解が困難に思える他者と対立せず、屈せず、かといって周縁化せず共生していくことは果たして実現可能な事柄なのだろうか」と問いました。この問いこそが作家の制作に一貫するメッセージであり、いずれの作品にも、社会通念上線引きされ分断された向こう側にいる他者が存在してきました。本展を通じて、鑑賞者は既存の社会的規範に照らし合わせた結果“そうではないもの”として周縁化され、あるいは不可視化されてきた存在に気が付くでしょう。この機会に是非ご高覧ください。
(プレスリリースより)
みょうじなまえ 個展「I’ll give you a name」
会期:2024年5月25日(土)〜 6月14日(金)
※会期初日5月25日(土)は終日(11:00〜18:00)作家在廊予定会場:N project
時間:月〜金曜 10:00〜17:00、土曜 11:00〜18:00
休廊:日曜・祝日
問合:06-6362-1038
大阪市北区西天満5-8-8 2F