此花のギャラリー・the three konohanaにて、2年ぶりとなる小松原智史の個展「ふたたび巣をたてる」が開催される。
小松原は1989年奈良県生まれ。2013年大阪芸術大学大学院芸術研究科修士課程修了。同年に 「第16回岡本太郎現代芸術賞展」特別賞を受賞した。
2年前の前回の個展「ばける|きえる|うけいれる」では、屋外での作品発表や海外での滞在制作など、新たな環境の下で制作・発表を重ねる中で現れてきた小松原の新たな描きのバリエーションを、平面表現の中に引き戻す意識で制作した作品群を発表しました。それに続く本展では、近年の彼の環境の変化から現れたもう一つの側面、空間への向き合い方が主題となります。
当初の彼の空間への意識は、空間自体を規定する壁面を自らの描きで埋め尽くしていくことに徹していました。しかし、空間の外側には触れられてもその内側には入り込めないという疑問から、2018年の個展「巣をたてる」では竹や廃材などで立体的な構造体を作りながら、それ自体にも描いていくという手法を試みました。その後様々な模索を経て、2020年から3年連続で参加した芸術祭「MIND TRAIL-奥大和心のなかの美術館」で、3Dペンを使った樹脂による立体的なドローイング作品を発表したことが、大きな成果のひとつとなりました。前回の個展以降も、大きく展開した近年の表現のあらゆる要素を、彼自身の中でひとつひとつ丁寧に見つめ直しています。
本展では、2018年の弊廊での個展以来取り組み続けてきた、空間へのアプローチに特化した作品群を中心に構成します。しかし、立体的な作品を手掛けながらも、彼の表現の根本にあるのは描くことです。筆やペンを下ろすところを、限られた二次元の領域からいかに自由になるかを模索しながら、いまの彼の志向はドローイングとペインティングを並列化して、それらの境界を解体していくことを目指しているようにも感じます。
本展は、小松原が次の表現の構築に向けて、2018年から時間をかけて模索し続けてきた過程において大きな区切りになるかと思います。当時の「巣をたてる」意識から始まり、自らの表現と空間の関係性に向き合ってきた彼の真摯な姿勢に触れていただければ幸いです。
(プレスリリースより)
会期:2024年6月22日(土)~7月28日(日)
会場:the three konohana
時間:12:00~19:00
休廊:月〜水曜
大阪市此花区梅香1-23-23-2F