美術作家・飯川雄大(いいかわ・たけひろ)の、ギャラリーノマルでの初個展「デコレータークラブ」が、2024年9月21日から開催される。
飯川は1981年兵庫県生まれ。現在、神戸を拠点に活動。
鑑賞者の行為によって起きる偶然を作品に取り込み展開する手法が特徴的だ。
「デコレータークラブ」は、2007年に始めた作品シリーズ名。鑑賞者が作品に能動的に関わることで変容していく物や空間が、別の場所で同時に起きる事象と繋がる《0人もしくは1 人以上の観客に向けて》、誰かの忘れ物かのような《ベリーヘビーバッグ》、全貌を捉えることのできない大きな彫刻作品《ピンクの猫の小林さん》などを生み出してきた。
2022年には大阪の国立国際美術館と兵庫県立美術館をつなぐ作品《デコレータークラブー新しい観客》を制作、その様子は当メディアにPHOTO REPORTとして掲載している。
神戸在住の現代美術作家、飯川雄大はこの2-3年だけでも、霧島アートの森(鹿児島 / 2023年)、彫刻の森美術館(神奈川 / 2022年)、兵庫県立美術館(兵庫 / 2022年)、千葉市美術館つくりかけラボ(千葉 / 2021年)などで個展を開催。グループ展も同様に2022年の国立国際美術館での展覧会やヨコハマトリエンナーレ2020などでの大規模な展示・インスタレーションが記憶に新しい、まさに旬の作家です。
飯川は人の認識の不確かさや社会の中で見逃されがちな事象に注目し、鑑賞者に気づきや能動的な反応を促すような映像、写真、インスタレーションを制作しています。特に2007年からは今展でのタイトルにもなっている「デコレータークラブ (DECORATOR CRAB)」シリーズの制作を開始。海にいる擬態する蟹の名前に由来するこのシリーズでは、作品と鑑賞者との関係をこの蟹の生態になぞらえ、鑑賞者の行為によって起きる偶然をポジティブにとらえ、思考を誘発する、能動的な作品を展開しています。
コマーシャルギャラリーでの個展としては10年ぶり以上となる今回の個展では、美術館でもまだ実現していない鑑賞者参加型のインスタレーションや、個人所有が可能な新作の立体作品やドローイング、新作版画などを発表予定。ノマルならではの空間を最大限に利用した、ユニークな展覧会となります。どうぞご期待ください。
–
作家コメント
2017年の国立国際美術館で開催されたミュージアムパーティ(作家が作品とか興味あることを話す会)でたくさんの人の前で「デコレータークラブ」の話をする機会があった。その時の会場の反応は、みんなキョトンとしていた。何日か経って、ノマルの林さんだけは「おもろい」と言ってたらしいよというのを知って嬉しかった。
2018年の尼崎A-LABで開催した個展「デコレータークラブ 配置・調整・周遊」の会場で林さんが「まだ誰もデコレータークラブのこと分かってないけど、いつかみんなが君がやろうとしてることを理解して期待して作品を観に来る時がくる、その時に作家は何をするかだね」と言ってくれたことがあった。その言葉はずっと大切にしていて、作品を一歩前に進めるタイミングってあると思うし、想像できたり期待されることを利用して、情報や体験が加わることで成立する表現もある。
今回の展示は、2023年の霧島アートの森で発表した《PULLING TIME》を発展させたインスタレーションと新しいドローイング、鑑賞者が自ら重いバッグを展示空間の外に持ち出し、別の展示会場へ運ぶ《新しい観客》、2006年に一度発表した《石の時間》も再展示します。ぜひ観にきてほしいです。
飯川雄大 Takehiro Iikawa
(Webサイトより)
会期:2024年9月21日(土)〜10月19日(土)
会場:Gallery Nomart
時間:13:00~19:00
休廊:日曜・祝日
Opening Party
日時:9月21日(土)18:00〜
※予約・料金不要
大阪市城東区永田3-5-22