音楽家・日野浩志郎と詩人・池田昇太郎による音と声の表現を探る3カ年プロジェクト「歌と逆に。歌に。」が、新たに映像作品を制作。11月16日(土)から12月1日(日)の約2週間、Vimeoにて有料公開している。
「歌と逆に。歌に。」は、初年度となる2024年の8月、クリエイティブセンター大阪にて新作音楽公演を開催した。今回公開された映像作品は、公演時の記録映像を軸とし、フィールドワークで訪れた土地の風景を交え、再編集したものだ。
「歌と逆に。歌に。」というプロジェクト名は、戦前から戦後にかけて大阪の風景やそこで暮らし働く人々を見つめてきた詩人・小野十三郎の言葉から銘打たれている。本プロジェクトにとって小野の存在は重要なファクターであり、なかでも1953年に刊行された詩集『大阪』と、彼の詩論の柱である「歌と逆に。歌に。」は、公演をつくるうえでの大きな起点だ。また、本映像作品でカットインしてくるフィールドワーク先の風景も、同詩集のなかに固有名詞として登場している。
小野十三郎という詩人の作品に向き合うということは彼の生きた時代とその社会、彼の生まれた街、育った街、住んだ街、通った道、生活、彼の思想、友人や影響を受けた詩人を訪れることでもある。そうした街や道、風景を巡り、小野の「歌と逆に。歌に。」という言葉を起点に、詩と音楽における「新たな抒情」の在処を探った。
引用:「歌と逆に。歌に。」映像作品配信プレスリリースより
公演では、小野の詩句をそのまま引用することは一部の例外をのぞき、あえてしなかったと池田は語る。ただ、小野の詩のなかに表れる「葦」「鉄塔」「重油の虹」といった、ある種の質感をともなう断片的な言葉は、池田を中心に俳優の坂井遥香、アーティストの白丸たくトによって抽出され、公演のテキストとして編み直された。
詩/構成は池田が担当し、坂井・白丸が朗読/一部テキストを担い、対して作曲を日野、演奏者として田上敦巳(goat)、谷口かんな、中川裕貴が参加した。
3カ年プロジェクトの初年度。本映像作品は、小野という存在と向き合いながら、つくり手たちの身体を通して、言葉と音楽の新たな関係性を探る試みの現在地と言えるだろう。あらためてじっくりと、その到達点を確かめたい。
期間:2024年11月16日(土)〜12月1日(日)
配信:https://t0rit0m0kai.vhx.tv/
料金:1,000円クレジット
企画・ディレクション:日野浩志郎、池田昇太郎
撮影・編集:西純之介
音源ミックス:西川文章、東岳志
英語字幕:杉田証
制作:伴朱音
主催:株式会社鳥友会、日野浩志郎
共催:一般財団法人 おおさか創造千島財団「KCVセレクション」
助成:大阪市助成事業、全国税理士共栄会
協力:大阪文学学校、エル・ライブラリー、藤江智子
問合:utagyaku@gmail.comInstagram:@utagyaku https://www.instagram.com/utagyaku
X:@utagyaku_ https://x.com/utagyaku_
新作音楽公演|「歌と逆に。歌に。」【公演終了】
日程:2024年8月16日(金)〜18日(日)
会場:クリエイティブセンター大阪内 Black Chamberクレジット
作曲:日野浩志郎
詩・構成:池田昇太郎
出演:池田昇太郎、坂井遥香、白丸たくト、田上敦巳、谷口かんな、中川裕貴、日野浩志郎
舞台監督:小林勇陽
音響:西川文章
照明:中山奈美
美術:LOYALTY FLOWERS
美術アシスタント:星直人
宣伝美術:大槻智央
宣伝写真:Katja Stuke & Oliver Sieber、Richard James Dunn
宣伝・記録編集:永江大
記録映像:西純之介
記録映像アシスタント:中谷利明、原田佳苑、小林夢祈、小林唄
記録写真:井上嘉和、Richard James Dunn
制作:伴朱音
当日制作:實方 愛、澁谷江美、眞鍋隼介主催:株式会社鳥友会、日野浩志郎
共催:一般財団法人 おおさか創造千島財団「KCVセレクション」
助成:大阪市助成事業、全国税理士共栄会
協力:大阪文学学校、エル・ライブラリー、藤江智子