育緒氏は京都に生まれ、東京、メキシコシティ、ハリウッド、サンフランシスコなどに暮らし、現在は東京と京都を行き来しながら活動している写真家です。2003年から2年間にわたって滞在したハリウッドでの、自由や快楽におぼれていく人々、街の様子を捉えた作品「甘い地獄」では、2007年 土門拳文化賞を受賞し、「表現者としての鋭い視点や思想性が光る秀作」と評されました。
新作「moment」で育緒氏は〈止まることのない時間〉を留めないまま、視覚化しようと試みています。これまでの作品同様、意図的にピントを合わせずに撮影された写真の中で、淡く溶けるように捉えられた地平線は、そこにあった光の滲むさまを浮かびあがらせるようです。
フィルムの質感にこだわる育緒氏の作品がもっとも輝くのは、オリジナルプリントの上でこそと感じます。モニター越しでは表現しきれないプリントの質感をぜひ会場でご高覧ください。
(ギャラリーより)–
ステートメント
太陽がのぼってから沈むまで
大地は柔らかい光を浴びつづけていました。
そして風に撫でられた一面の麦の穂が
どこまでも小さく揺れ広がっていました。『moment』は、この〈止まることのない時間〉を紙片の中にめぐらせようとした作品です。
写真には本来、世界を断片的に切り取り、その動きを封じる性質があります。
しかし私は、フィルム独特の質感を頼りに、永遠に呼吸する風景を描きたいと思いました。
今はSNSはじめインターネットで手軽に写真が見られる時代です。
ですが私はその質感に、自分が求めるリアリティを感じられません。
是非会場に足をお運びいただき、実物のプリントを体感してみてください。
(育緒)育緒 略歴
1968年 京都市生まれ
東京、メキシコシティ、ハリウッド、サンフランシスコなどに暮らし、現在は東京と京都をダブル拠点にして作家活動を展開。
2000年、機械式カメラの修理技術を学び、クラシックカメラの修理職人としても多くのワークショップを開催。
2007年、土門拳文化賞受賞。
2023年、京都・五条にgallery SUCCESSIONをオープン。
会期:2024年12月10日(火)~22日(日)
会場:ギャラリー・ソラリス
時間:11:00〜19:00
休廊: 12月16日(月)
大阪市中央区南船場3-2-6
大阪農林会館B1F