大阪・平野の「アトリエひこ」と、併設する「となりの三軒長屋」にて、2025年1月11日(土)から2月2日(日)まで、展覧会「PARALLEL UPPALACE~あたらしい友だちとの遊び、もしくは蜃気楼~」が行われる。
アトリエひこは、ダウン症と重い心臓疾患を伴う大江正彦(1965年生まれ。通称:ひこくん)の母が、「息子に好きな絵を思い切り描かせてやりたい」という強い願いから、養護学校卒業後の場として1994年に設立。重い知的障害のある人たちを仲間に迎えプライベートアトリエとして自主運営され、現在は10数名のメンバーが創作や日々の活動に取り組んでいる。
また、2023年1月に開催された展覧会「UPPALACE~暇と創造たちの宮殿~」をきっかけに、現代美術作家、詩人、映画監督などさまざまな領域で活躍するアーティストたちとの交流が生まれ、ともに過ごす時間もつむがれている。隣接する築80年超えの長屋であるとなりの三軒長屋も、「UPPALACE〜暇と創造たちの宮殿〜」をともに立ち上げた写真家の秦雅則と、詩人の辺口芳典の呼びかけにより集まったアーティスト、建築家たちが改築した場だ。以降も「ハンガ・ラボ」展、「きいろは じゃない Beyond Yellow Yellow 大江正彦 -大竹央祐」展、「文字とのつきあい」展、人形劇「UPPALACE の結婚式」と、さまざまな展示、イベントが開催されてきた。
そして、その過程の現在地として「PARALLEL UPPALACE〜あたらしい友だちとの遊び、もしくは蜃気楼〜」と題し行われる今回の展示には、アトリエひこのメンバーと、アーティストら10名が参加。神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond公募大賞にてグランプリを受賞した水田雅也や、2025年1月25日(土)から大阪中之島美術館で開催される、関西ゆかりの若手作家を紹介する個展シリーズ「Osaka Directory 9 Supported by RICHARD MILLE」を控えたKOURYOUも登場する。アーティストからメンバーへ「遊びの提案」をすることを通して、違いのある者同士がどのように関係を築いていくのか、9つの組み合わせによる表現の実践で見せていく。
本展に際し、「UPPALACE〜暇と創造たちの宮殿〜」に続き企画を担った3名の言葉を引用したい。秦は「障害のある人達との交流や、同時代を生きる創作者として共に作品を作るという行為をもう一度パラレルに捉え直していきたい」とつづっている。また、辺口は「原初の個性がここにあって、ここからあらためて考え、紡ぎ出していける個性、そういう素朴さ。(中略)個人と個人が出会い、遊びつづけるのがほんとうのこと」、アトリエひこの石﨑史子は「おそらく一方だけが極端に影響されることはなく、同じ分量だけ作用しあっている。パラレルUPPALACEは、この『同じ分量』の可視化の試みでもある」とも。つくること、人間同士の関わりを模索する歩みに注目したい。
参加アーティスト
飯島剛哉(アルミマン)×アトリエひこ⇒入浴、カラオケ、送迎
伊吹拓(画家)×稲留武史⇒絵画の共同制作
大竹央祐(写人)×アトリエひこの時間⇒写真表現
KOURYOU(芸術家)×佐藤春菜⇒年表画の共同制作
ジャンウェン(ドキュメンタリーメーカー)×アトリエひこの日常⇒ドキュメンタリー映画
寺川大地(喫茶店のようなEARTH 経営)×UPPALACE⇒クッキング
B 地図(Bushi 菅原広司 ・辺口芳典・芝田一絵)×アトリエひこのアルバム⇒アーカイブ
水田雅也(アーティスト)×メンバーの時間感覚⇒探求
PARALLEL UPPALACE~あたらしい友だちとの遊び、もしくは蜃気楼~
日時:2025年1月11日(土)~2月2日(日)13:00~18:00
※月・木・金曜は休廊、1月13日(月・祝)は開廊
会場:アトリエひこ・となりの三軒長屋
料金:無料
問合:atelierhiko@gmail.com(担当・石﨑史子[アトリエひこ])
関連イベント
ヒューマン新年会
日時:2025年1月6日(月)15:00〜
※予約不要UPPALACE座談会~ジャンウェンの水餃子と共に~
日時:1月26日(日)15:00~20:00
料金:無料
※予約不要人形劇(しつこい節分)
日時:2月1日(土)17:30〜
料金:無料
定員:10名
予約:atelierhiko@gmail.comへ要申し込み
大阪市平野区平野本町4-3-20