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展覧会ステートメント
あるドキュメンタリー番組でこんなシーンを⽬にしました。
家を出た⼦供が久しぶりに帰ってきたら⾒た⽬が全く変わっており、親が我が⼦を⾒て⾃分の⼦だとわからないと⾔っていたのです。
ここで私が⾔いたいのは、何らかの是⾮を問いたいわけではなく、それほどに⽬に⾒える⾝体的情報(⾒た⽬・容姿)というのは、私たちを認識するための強いアイデンティティであるということです。
そして現代において視覚的な⾝体的情報の変化の流動性は、より⾼まっているのではないでしょうか。
そんな⾝体的情報と私たちの距離感が変容している時代において、美という⾓度からその⾝体のありようとアイデンティティとの関係性についてみなさまの思考のスイッチを押すことができれば幸いです。
歴史上、薔薇というのは、美の象徴的存在として語られてきました。
本展では、時間と美の関係を根幹に⾒据えるために、時の流れを反映し移ろいゆく花を⼊り⼝にしながら、最も⾝近な私たちの⾝体という存在⾃体が持つ美しさを過去から現在、未来という時間軸を踏まえて検討します。
私たちのアイデンティティ(内⾯性)と⾝体(外⾯性)との関係性を美という⾓度から⾒つめることができれば幸いです。
そのようなことを我々⾃⾝が検討しつつ、鑑賞者に対して投げかけ、思いもよらない思考のアクセルがかかることを期待しています。
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東京都出⾝
武蔵野美術⼤学⼤学院 造形研究科 デザイン専攻 空間演出デザインコース 修了医療職である両親の元に⽣まれた私は「⾝体」に興味を持ちファッション、デザインをバックグラウンドにもちます。
私にとって⾝体は単なる物理的存在にとどまらず、内⾯と外界をつなぐ媒介であり、感覚を通して他者や社会と対話するための重要なツールです。この視点が、私のアートの根幹をなす考え⽅となっています。また、作品制作においては、⼈間の根源的な欲望や、個⼈と社会の関係性を探る試みを続けてきました。
これまでのプロジェクトでは、『光を摘む』で⾝体を通じて視覚の受動性に問いを投げかけ、「⾒る」という⾏為を意識的に捉えたときに⽴ち現れる世界を探求しました。また、『美的⾝体のメタモルフォーゼ』では、「美を⼿に⼊れたい」という普遍的な欲望の源流にアプローチし、⾝体と美の関係を多⾓的に捉えました。
私の制作はリサーチとプロトタイピングを通じて形を成し、作品を介して他者との対話を促すことで、さらなる探究が始まる循環的なプロセスを含んでいます。こうしたプロセスを通じて、私はアートを介し、⼈間社会に内在する価値観や理想といった「⽬に⾒えないもの」を顕在化し、新たな視点を提⽰することを⽬指しています。
⾝体という軸を通じ、⼈間の根源的な本質にアプローチすることで、私たちが⾃らの存在や価値観を問い直す機会を⽣み出していきたいと考えています。
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1993年東京都⽣まれ。
⽂化学園⼤学 造形学部 ジュエリー・メタルワークコース卒業。東京を拠点に活動。[作家ステートメント]
⼈体の中に秘められた、医療では解明できないなにがが存在するのではと思うことがある。
それは幼い頃から、そして⽇頃から病を持った⼈と医療が⾝近にある中で、⾃然と感じているものであった。
医学では説明のつかない⼈体に起こる現象には、体の中に仕組みを超えたなにかが存在しそれらは⼈の祈りや巡礼に体が応えているかのように感じた。[プロフィール]
⽣や偏⾒、祈りをテーマとし、古典美術を現代に落とし込んだコラージュにペインティングを組み合わせた平⾯作品を制作する他、⾦⼯作品やオブジェなども⼿掛ける。
毎年国内外で開催する展⽰活動を精⼒的に⾏いながら、アートディレクションやファッションブランドとのコラボレーションの他、CDジャケットや映画関係、装丁の描き下ろし等、その活動は多岐に渡る。
2022年夏 ジュエリーブランド「eimiess」を始動。主な出版物に画集「Anatomie de l’Art Insolite d’Eimi Suzuki 悍ましくも美しきものの解剖学」他2冊がある。
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1965 兵庫県に⽣まれる
1989 京都市⽴芸術⼤学美術学部 油画専攻 卒業
1991 京都市⽴芸術⼤学⼤学院 美術研究科彫刻 修了
現在、兵庫県に在住なぜ薔薇なのか…
私が好きだからというより、薔薇が⼈々に愛され最も象徴的だから…その引⼒の理由を知りたいから。
砂糖でつくられた薔薇は、湿度や重⼒という⾃然の⼒でゆっくりと変容していく。
私はその変化にこそ魅せられてカメラを向ける。
⾃分が⾍になったかのような、埋没するかのような⼤きさでプリントしてみる…協⼒:Yoshimi Arts
Group Exhibition「美の記憶とその先」
出展作家:神楽岡 久美、スズキエイミ、⻄⼭美なコ会期:2025年2⽉14⽇(⼟)〜 3⽉16⽇(⽇)
会場:Marco Gallery 1F
時間:13:00〜18:00
定休:⽉・⽕曜、祝日 ※⽔曜はアポイントメント制
大阪市中央区南船場1-12-25
竹本ビル 1F