
2015年に廃校になった今宮小学校(大阪市西成区)の校庭の一角で、大阪市の文化事業「ブレーカープロジェクト」の一環として、美術家・きむらとしろうじんじんらと共にスタートしたプロジェクト『作業場@旧今宮小学校』。小学校に残る陶芸窯や倉庫、廃材などを活用し、誰もが立ち寄りたくなる場を目指して毎月定期的にオープンするほか、きむらによる「野点」や、日頃作業場に集う地域の子どもや大人、建築を学ぶ大学生たちによる「妄想屋台」が出現するイベントなどを開催してきた。
2025年3月16日(日)に西成区民センターにて、作業場の運営に関わってきた関係者が集まり、これまでの取り組みを5時間にわたって振り返るトークと展示が開催される。
西成区のアートプロジェクト「ちょちょまうヴァナキュラー(以下ちょちょヴァナ)」が実施する『作業場@旧今宮小学校(以下《作業場》)』をめぐる「5時間クロストーク+展示」を開催します。《作業場》は大阪市の文化事業「ブレーカープロジェクト」が美術家・きむらとしろうじんじんとともに2015年に立ち上げ、2024年度よりちょちょヴァナが引き継ぎ、のべ10年間継続して実施してきました。ちょちょヴァナは《作業場》を中心としたプロジェクトを展開するため、新たに発足させたものです。
《作業場》は活動を継続するなかで、地域の教育・福祉機関との協働を重視しそのあり方も変化しています。今回のクロストークでは、改めて《作業場》を紹介するとともに、これまで活動をともにしてきた協働機関のスタッフと参加者それぞれにとっての《作業場》を掘り下げます。同時に、聞き手として、教育や福祉をベースにしたアートの取り組みの評価設計等も手がけるアートマネージャー・リサーチャーの石幡愛さんに立ち会っていただくことで、地域で継続して実施するアートプロジェクトのありようを多面的に捉えることを試みます。また、今年度のリサーチプロジェクトとしてStudio Kentaro Nakamuraと立ち上げた「ちょちょヴァナ」のウェブサイトを紹介。このウェブサイトでは、お知らせを一方向で伝える機能を超えて《作業場》をオンライン上でどのように表象できるのかという実験でもあり、その制作プロセスは、《作業場》とは?を考えることそのものでした。さらに《作業場》でスタートした「音」のプロジェクト《おとあつめ》は、会場内での展示を試行します。
《作業場》の10年間で積み重ねられた、一面的には捉えどころがない、さまざまな出来事を振り返りる時間を開き、語られる言葉は、これからの《作業場》、アートプロジェクト、ひいてはこれからの社会の礎となるのではないかと考えます。《作業場》に参加したことがある方もない方も、ご興味のある方は誰でもぜひご参加ください!
(Webサイトより
ゲストプロフィール
きむらとしろうじんじん(美術家)
1967年新潟県生まれ、京都府在住。京都市立芸術大学大学院美術研究科で陶芸を学ぶ。1995年より「野点(のだて)—焼立器飲茶美味窯付移動車」を全国各地で開催している。2014年に今宮小学校での野点を契機に「作業場」の立ち上げ・運営に関わり、現在も絶賛続行中。石幡愛 (アートマネージャー、リサーチャー)
1984年福島県生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(教育学修士)。2012年〜NPO法人クリエイティブサポートレッツ事務局、2014年〜としまアートステーション構想事務局長(一般社団法人オノコロ)を経て、2017年〜フリーランスとして、小規模団体のバックオフィス支援や事業評価に従事。並行して2018年〜墨田区文化振興財団にて、地域の文化芸術活動の中間支援にも携わっている。仲村健太郎(デザイナー / Studio Kentaro Nakamura)
1990年福井県生まれ。2013年に京都造形芸術大学情報デザイン学科を卒業後、京都にてフリーランス。大学ではタイポグラフィを専攻。京阪神の芸術・文化施設の広報物や書籍のデザインを中心に取り組む。タイポグラフィや本のつくりを通して内容を隠喩し、読む人と見る人に内容の新しい解釈が生み出されることを目指している。小林加代子(ウェブデザイナー / Studio Kentaro Nakamura)
1990年兵庫県生まれ。神戸芸術工科大学ビジュアルデザイン学科エディトリアルデザインコース卒業。ウェブ制作会社勤務を経て、2019年よりStudio Kentaro Nakamuraに所属。ウェブサイトをメタメディアと捉え、さまざまな事象のもつメディア性を取り入れながら実験的に制作。情報と体験の新しい関係性を模索している。おとあつめ(江崎將史、カメイナホコ、光永惟行、米子匡司)
《おとあつめ》は、《作業場》を起点としてスタートした、新たな「音楽」のプロジェクト。楽器や《作業場》にあるものを鳴らしたり、空間に響く音や声も重ねたり、繋げたり、録音したりして音楽をつくっている。協働機関の紹介
山王訪問看護ステーション
地域の商店街に事業所を構え、<自分の人生を、自分で生きる><地域の中で、生きていく><人と人のつながり>をモットーに、地域で暮らす全ての人々が健康に暮らせるよう、地域密着の活動を続けている。看護の延長として実施する「ベンチプロジェクト」やギャラリー「MaDO」の運営など様々な場面で連携を試みている。大阪府立今宮工科高校
地域の工業系高校で、機械系・電気系・建築系・グラフィックデザイン系・工学系のクラスがあり、工業技術者を育成する専門教育を行っている。なかでも3年生になると「課題研究」というテーマごとに1年をかけて学ぶ探究型学習の授業がある。《作業場》は2020年度から「地域連携」チームの実践場所として連携を行っている。今池こどもの家
1976年より大阪市のあいりん児童健全育成事業として、あいりん地域の0〜18才の子どもたちを対象に健全な遊び場・生活の場として活動している児童館。《作業場》がスタートした当時から連携しており、プロジェクトの方針を形作ってきた重要なパートナー。
5時間トーク+展示 「わたしはなぜ『作業場』を続けたいのか?」
日時:2025年3月16日(日)13:00〜18:00頃(出入り自由)
会場:西成区民センター 1F ホール
スケジュール:
13:00〜13:40 1部《作業場》のこれまでといま
きむらとしろうじんじん(美術家)、高岩みのり・松尾真由子(ちょちょヴァナ事務局)13:40〜14:10 2部《ちょちょヴァナ》のWebができるまで
仲村健太郎、小林加代子(Studio Kentaro Nakamura)14:15〜16:15 3部:それぞれの《作業場》〜協働機関を交えて〜
吉村友美 (山王訪問看護ステーション)、白川陽子(大阪府立今宮工科高校)、多賀井潤一郎(今池こどもの家)、きむらとしろうじんじん、高岩みのり・松尾真由子
聞き手:石幡愛 (アートマネージャー、リサーチャー)16:30〜17:00 4部:はなす《おとあつめ》
江崎將史、カメイナホコ、光永惟行、米子匡司17:00〜18:00 5部:《作業場》のこれから(今日の感想/質疑応答)
石幡愛、きむらとしろうじんじん参加費:500円
定員:50名 ※予約専門フォームより要申込
主催:ちょちょまうヴァナキュラー実行委員会(大阪市、一般社団法人brk collective)
西成区民センター
大阪市西成区岸里1-1-50